2012.12.06.Thu
花帰葬(PSP版) 感想
![]() | 花帰葬 (2010/09/22) Sony PSP 商品詳細を見る |
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人の命が失われ過ぎたとき、この世に生まれる「玄冬」を媒介にして、雪に埋もれ潰えると伝えられてきた世界。かつての大戦終結から幾星霜の歳月が流れ、人は再び戦乱の世を迎えようとしていた。暦の上では既に春だというのに、降りしきる雪は一向に止む気配も無く、人々はいつ始まってもおかしくない戦争と、古くからの伝承に不安を隠しきれないまま、日々を過ごしていた。救済を乞う人々に、七カ国の内の一つ、彩(さい)国に身を置く白の預言師は、「この雪は、争いを望まぬ創造主の嘆きである」と語った。そして、たったひとつを消せば、世界は滅びを免れるということも。
世界を滅亡へと導く終焉の冬と同じ名を冠する、記憶喪失の青年・玄冬と、彼に手を差し伸べた少年・花白(はなしろ)。雪に閉ざされた白銀の世界で、自身のことさえ思い出せないまま花白の手を取ったまさにその頃、二人を捕らえるべく動きだした者達がいた。
(Wikipediaから引用)
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2003年に発売された女性向け同人ゲーム(もちろんボイスなし)のPSP移植版(ボイスつき)をプレイいたしました。2003年かー。ほぼほぼ10年前ですね。確かに10年前というとこんな感じだったかも。今とは違うキャラ萌えみたいなのがあったような・・・(と、段々思い込んでいく)
キャストは三木眞一郎に斎賀みつきや井上和彦と、皆さん今も現役ですけど確かに10年前だったら主人公格だったなあと思われれる方々でした。
コンパクトにお話しが作られているので、おまけや番外編も含め2日でフルコンプできます。
ちなみに移植したのはプロトタイプなんですけど、スキップがボタン押しっぱなし必須は気が狂ってると思いました。ADVゲームのシステムでおかしいことあると、「ADVゲーム好きなのかなあ?」と疑いたくなる。
愛した相手は殺さなければならない人、というシンプルかつストレートなテーマをとにかく細く美しく儚く描いてくれるこのゲーム。主人公の玄冬(くろと)も花白(はなしろ)も男です。ですがBLではないんです、あくまで全年齢向け友情ゲームなのです。恋愛にならない。恋愛になればいっそわかりやすかった。男女でも男男でも、恋愛なら熱く激しく安っぽく楽しく!萌えられたのに!でも恋愛にはならないのです。私の中の腐女子がもうお前ら付き合っちゃえよ!とプレイ中何度も叫びましたが、うーん。難しいですね。そういう場所まで堕としちゃいけないような高潔さがあった。
や、何が言いたいのかっていうと、恋愛にならないからこの作品の純度がすごい美しく高い所に保たれているんだなーてことです。16もあるEDも、「うおおおこうなったか」と思わせる「物語的」な終わらせ方が多い。そういう意味で妙に印象に残る作品となりました。
逆に萌えがないと記憶に残んないよって方には印象が薄くなりそうな作品ですね・・・。
以下音楽とかキャラとか。
・音楽:志方あきこ
同人や個人サイト運営されていた時代にすごい聞いていた気がする・・・。もう手元にないけどCDも買っていました。なのでなんかすごく懐かしい気持ちになりましたね。主題歌とかED曲とか「なんかこれ聞いたことあるぞ」と思うことがしばしば。今やすっかりメジャーで活躍されているんだなあと思いました。民俗っぽいケルトな音楽が作品の雰囲気をますます透明に保っています、という感じです。
・玄冬(くろと)
おーなんか三木眞の声久々にゲームで聞いた。人が人を殺しすぎると生まれ世界を終わらせる存在である玄冬はただの優しくて家庭的な主人公でした。ほんとなー。心きれいでした。面倒見のいいお兄ちゃん系攻めって感じ。いや受けだろうかってそういう枠に当てはめてはいけないのですが。三木眞も葛藤の大きい演技をさせるとなんか生々しくなってヒッてなりますね!
・花白(はなしろ)
斎賀みつきの男性キャラって久々にゲームで以下略。なんか懐かしい受けって感じがしました。女の子みたいに綺麗で可愛くて腹黒くて、でも男の子!っていう。ある意味鉄板ですなー。人間不信なため残酷で人と人とも思わない一面がある一方で玄冬への依存と執着はすごいし可愛い、と思います。
・黒鷹(くろたか)
ちゃらんぽらんな井上和彦というのも久々以下略。愛情深いので人気の高そうなキャラですね。彼は結局白梟が好きだったのか何なのか・・・。
・白梟(しろふくろう)
女性に媚びない女性キャラ。こういう外見も懐かしいですねなんか。腐女子の描いた女性っていうか。元々あんま男女差のない絵柄ですが、白梟なんか「もしかして男だったら嬉しいのにな」くらいに思ってしまいました。一応華奢でまつ毛はあるんですけどこの絵柄だと男だと言われてもそうかもしれないと納得していたかも。
・銀朱(ぎんしゅ)
まっすぐなイトケンだった。何かと損な役回りだった気もしますが、言っていることはすごくまともな感じがしましたね。
世界が滅びを迎えると玄冬が生まれえんえんと雪が降り続ける、という状態なので、画面は大体白く登場人物は寒がっています。プレイしている私も寒いです。ある意味今の時期にぴったりで雰囲気たっぷりですが、やっぱり寒いなあと思ってプレイしておりました。
本編でトゥルーEDを迎えるとおまけエピソードが出てきます。
おまけエピソードでは未来の時間軸に生まれた玄冬(小)が黒鷹からお話しを聞くっていう内容なんですが、そのお話しの中で出てくる登場人物も「王子」とか「青年」とか言い表されていても玄冬や花白でした。おまけエピソードは16あるEDの延長線上にあることが多いんですが、今の言葉でわかりやすく例えるといくつもの世界線の中に玄冬と花白が存在して、2人は殺しあったり殺しあわなかったり幸せな結末を迎えたり悲劇が繰り返されたり、「今」の2人が死んでもう二度と会いたくないと思っても、また未来に生まれ変わってうっかり出会ってしまったりしていたりして、結構数奇で面白いなーて感じでした。中には「殺さなくていい玄冬」までいて花白と寝食を共にしていたりするので、悲劇的な結末が必ずしも悲劇を引き起こすってわけでもないそうです。
一番面白いなと思ったのは、絶望した今の玄冬が死ぬことを選んでも、また生まれ変わって黒鷹に育てられたい・花白にも会いたい・でも世界は滅ぼしたくないと願った結果、生まれ変わった何も知らない玄冬がひたすら花白に殺され続け、また玄冬を黒鷹が育てる・・・というEDでした。まさしく負のループなんですが、黒鷹はちゃんと玄冬の願いを叶え続けているんだなーなるほどと思いました。
おまけエピソードをプレイすると外伝「花唄」が出てきて、これは玄冬の両親がどのようにして出会い、玄冬が生まれたかという話になりますが、何もかも終わって最後にプレイしたほうが良さそうですね。感動的な意味で。感動的なんですが、玄冬の生まれた家はどうなってしまったか(世間からどのような目で見られるか)というシビアな内容でかなり悲しいお話なのでほんともう、玄冬は幸せにならんといかん!と思いました。
プレイ終わってから音楽聞いてみたりいろいろ調べていたら副読本とかほしくなってしまい・・・ただ今注文中です。あと音楽をクラシックバージョンにしたCDが出ているんですが、探しても見つかりません!iTuneにあったようなのに消えているし。そんでもって二次創作も携帯サイトくらいしか残っていないようですね~残っているだけでもありがたいけど。遅すぎるとさらっと萌えるにも困難だなーとぐるぐるしました。
高潔とか何とかいったけど結局カップリング萌えしたいってだけなのですね。でもでもだってー!君さえいればいい!とか言い過ぎですよぎゃふん!
制作元であるHacca Worksさんは昨年「あかやあかしやあやかしの」という2作目のゲームを発売されたそうです(そういえばそうだったな。同じ制作元とは思っていなかった)。むむむ、面白そう。やりたいなーと思ってしまいました。しかし花帰葬から色々あったとはいえ7年間作り続けていたのかなと思うと壮絶です。7年あるといろいろあると思いますし、どうやら普通に働いてらっしゃるようですし・・・!情熱ってすごいな、と思ったのでした。
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