最近読んだ本の感想です。
●そして花嫁は恋を知る小田 菜摘
集英社
売り上げランキング: 321,445
外伝・大河は愛をつなぐ含め全巻読みました。
きつかった。
一巻完結が多くばらばらに読んでもいいのだから、集中して短期間に読まないでのんびり読めば良かったと思いました!
どこらへんがきついのかというと、王宮ものなのでやっぱり「愛人・庶子」問題が出てきてそれによって登場キャラクターの恨みつらみを熱弁されるのと(少女小説なので主人公がその立場に立たされることはほとんどないのですが)、主人公がどの子もものすごく真面目で良い子で優等生すぎて、読んでて「誰か一人くらい他人殺すとか駆け落ちとか心中とかしないの?」とか思い始めるあたり、「不自由お姫様素晴らしい」という自分の性癖を若干疑いました。前回の記事とめっちゃ矛盾してますすみません……。
どの物語も政略結婚⇒あまりあいそうにない旦那候補と遭遇⇒トラブル発生⇒お姫様の機転と勇気と権力(?)で解決⇒恋愛もなんとか収まる、ってパターンですので読んでてある意味安心です。でも連続して読んでると「お姫様真面目すぎじゃね?てか周りの環境(主に国交問題)が面倒臭くね?だからせめて旦那と意志疎通は出来ないと辛すぎないか?」となるのでハッピーエンドも2人はラブラブね、萌え♡っていうより「あ、良かった……」という脱力感があります。
ちなみに最後から2番目に最終巻、最後に一巻という読み方になってしまったんですが、一巻で主人公の姉として出てくるグラケィア様が最終巻に主人公の母になって物語中で亡くなるというのが偶然ながら胸熱展開になってしまいました。グラケィア様が完全無欠の女帝で恋愛要素には絡まないのですが、格好良すぎて一番キャラ立ってた。シリーズ通してお姫様はともかく男性陣のキャラはちょっと薄めな感じなあたり小田先生は女の子萌えなのかな?
●マグダラで眠れ6支倉 凍砂
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2014-09-10)
売り上げランキング: 176,387
花嫁シリーズのあとの男の子向けライトノベルは!実に!爽やか!いやマグダラはそんな爽やかでもない部類ですけれどすっごい清涼感あってびっくりしました(比較論)そりゃ愛人だの庶子だのの女のドロドロなんて男の子向けでは滅多に見ませんものね~。夢見る男の子向けにそんな要素入れても担当から削れって言われるよなと変に納得しました。
髪を切って職人見習いするフェネシスが可愛い!萌え!翻弄されるクースラが不器用で可愛い!萌え!ガラス職人が魔女呼ばわりされてるのもオカルトファンタジーかつ手品のネタ晴らしみたいな感じが萌え!また古代技術へ一歩近づいていつようで良かった良かったって感じです。マグダラはあれですね、「かつて地球上には紀元前よりさらに前に古代技術があった」ていう話が好きな方がわくわくするお話ですねー。
前巻は
ギリシア火薬をモチーフにした話で実は花嫁シリーズにもこれ出てきたんで「やっぱ皆心躍るんだな」と思いました。
●デ・コスタ家の優雅な獣喜多 みどり
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-06-30)
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少女小説ではあまり見ないような気がするマフィアものです。でもマフィアって乙女腐女子に大人気なジャンルですよね。なんであまり見ないんだろ??企画が通りにくいんでしょうか。
孤児だった主人公・ロザベラはある日突然デ・コスタ家というマフィアの家に連れて行かれ、超能力の跡継ぎを埋めるのは君だけ、と軽い軟禁生活を送ることになるのですが……。あんま優雅ではないんじゃない!?恵まれない子供時代を過ごしたロザベラは引っ込み思案で臆病者、人ともまともにしゃべれない子なのですが、組織内にいる父親違いの兄から愛情をうけ、逃亡を画策し、やがてはデ・コスタ家の改革をぼんやり目指すようになる。主人公ロザベラの賢さやいざという時の度胸ありすぎな行動、控えめな態度からは想像もつかない野心やアグレッシブな精神が痛快です。周囲の男性も超能力持ちというファンタジー設定ですがどのキャラもくせがあり非常~にキャラが立っている。
挿絵がカズアキ先生なのも手伝って思わずこれ乙女ゲーにしたら面白いんじゃないかと思ってしまいました。マフィアものは相変わらず自分に馴染みがないですが、そこそこ楽しめました。
●初音ミクはなぜ世界を変えたのか?柴那典
太田出版
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ミクさんとは何ぞや?と聞かれたら、皆様はどうやって答えるのでしょうか。私は「八百万の神の一つ」と答えます。質問者が益々混乱しそうなのでリアルではやりませんが……。でもそう表現してしまいたくなるくらい、あまりに多面的すぎてなんと説明していいかわからないのです。そんなミクさんについて音楽の歴史やミクさん開発の面から説明してくださるのがこちらの書籍です。素人目からするとミクさんはクリプトン社が発売した音楽作成ソフトでパッケージに可愛い女の子がいてたまたまニコニコ動画が台頭してきた時期にぶちあたったからでっかいムーブメントになったんじゃ?みたいなイメージですが、そうではなく、ミクさんに至るまで長い音楽の歴史があり、いつの時代も軽く見られがちなポップミュージックやアングラ文化で活動してきた人々がいて、音楽作成ソフトにもミクさん以前に様々なソフトがあったのだと教えてくれます。その歴史の延長線上にいるんだよ、って時点ですでに胸熱ですね。あと、今の中学生・高校生にとってミクさんのライブは「それまでのCG技術の結集」ではなく「はじめてのライブ公演の一つ」として記憶されるのだっていう状況にゾクリとしました。
いまやオペラやTOYOTA(海外)のCM、海外公演でも活躍されているミクさん。軽率なオタクとしてはやはり楽しいライブに行きたいのですが、今の所チケット争いで全部負けています!!
自分はニコニコ動画黎明期の「みくみくにしてあげる【してやんよ】」世代です。なので「
みんなみくみくにしてあげる♪(音量注意)」が出てきた時には感慨深いものがありましたね。で、昨年やっとモンスターヒット曲「千本桜」に触れました。こちらの曲も、なんでこんなヒットするんだ!?って誰しも思うんですがどうやら童謡で使われる
ニロ音階を利用している、ということで、日本人との親和性を追求してるっぽいです。原曲あってこそですが
Project Divaの観賞用PV(音量注意)は歌って踊る説得力があり、や
Project Mirai(音量注意)のPVでは汽車の上で踊るミクさんが可愛い……。
●Fate/strange Fake成田良悟
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-01-10)
売り上げランキング: 1,906
Fateは続くよどこまでも……。
Fateって聞くけど一体どれから試せばいいのかってくらい、公式メディアミックスが増えてきましたね。恐ろしいのは「公式」メディアミックスだということです。しかもそれらを担うのがライトノベルやゲーム業界の一線で活躍している人達です。こちら「strange Fake」は成田先生がエイプリルフールの際自サイトに冗談で書いた二次創作小説、があまりにも面白そうに見えたため公式が「じゃあ続き書いてよ、書籍化するべ??」みたいなノリで書いている作品なのれす。プロまで夢中にさせるFateって設定としてあまりに優れているってことなのでしょうね。そのうち和製Fateも出てくるんだろなあ。
「Fake」と書かれているように「まがいものの聖杯」を使った「まがいものの聖杯戦争」です。まがいものに相応しいイレギュラーなマスターやサーヴァントがわんさか。ギルガメッシュ様は続投(?)のようで相変わらず傲慢俺様やっていてなんか安心する。1巻は顔合わせ(にすらなってない)参加者紹介のみで大体終わりました。すでに5巻以上のストックがあるらしいので続刊が楽しみですね。