2013.11.29.Fri
かぐや姫の物語 感想
かぐや姫の物語 [Blu-ray]
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ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2014-12-03)
売り上げランキング: 5,507
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2時間超えの大作ですので、お手洗いに注意が必要かもしれません……。
隣の方(妙齢の女性)が30分ごとに溜息ついてて、憶測ですがきっと退屈なんだろうな、と思いました。
何故かというと、こちらの作品はおそらく皆がぼんやり覚えている「竹取物語」の大筋を、あまり離れずに結論まで持って行っているのですね。なので、「あーこういう風にしたのね」とか「絵が綺麗だなあ」とかあるんですが、大筋は変わらないのであまりびっくりしないというか……淡々としているかなと。山と落ちが見通せた状態なので、お話しとしてハラハラはしないかもしれません。
私としては竹取物語の大筋を守りつつ登場人物に明確なキャラや葛藤を与えて、人情的に理解できるようにした作品である、と思います。
また色々レビュー読んでからの見解だと、解釈に仏教思想が入るんですとか。なので、「姫の犯した罪と罰」「姫は何故月に帰らなければいけないのか」部分は、もしかしたら仏教思想にちょっと理解がないと難しい、のかも?もちろん無視して想像する!でもまったく問題ないかと思うのですが。(というか見る人も色々なのでそこを許してほしいとも思ってしまったり笑。でも好きな人はそれで低評価になるのが耐えられないのでしょうね。難しい)
「お話しとしてハラハラしません」とは書いたんですが、かぐや姫の誕生から、彼女がどれだけ翁や媼に愛されたかや、思い人がいたことによる葛藤(ここはオリジナルですね)、山や土や鳥などの自然を愛していたのに都で過ごさなければいけないことへの不満、自分の意思とは関係なく誰かのものにならなければならないことへの抵抗……等々、主に女性が(ぼんやりしてるなーすみません)共感・感情移入しやすく作られているので、キャラクター的にはハラハラするシーンはいくつかあります。
それこそ地獄のような苦しみにシンパシーを感じるかもしれません。
で、竹取物語の大筋は外れません、ですので、かぐや姫はきちんと月に帰ります。
ですが、地上をどんな風に愛していたのかをしっかり訴えかけてくるので、メッセージ性は明確ですね。
「汚れた地上でも、生きることは素晴らしい」って。
デカイ。
え、テーマ、でかいね。やっぱそこなんだ……?と、思ってしまった私をお許しくださいー!!
いや途中から「結構大筋変えないなーこれってフツーに月に帰るんじゃね?」って思って、案の定帰るんですがその際、地上への愛を熱く語ってくれるし、もちろん翁媼はひきとめるため大泣きなので非常に納得!なんですが、なんかこう「そもそも論」を語られてしまって、伏線もあるし理解は出来るんですが、なんか優等生だなーと思ってしまいました。
かぐや姫を始め、どのキャラクターも漫画っぽく、可愛らしく、ちょっと愚かだけど嫌われないように作られている、と思いました。それこそ、姫の幸せを勘違いしちゃってる翁や(でも時代背景考えれば当然ですしね)、口うるさい相模殿や、求婚してくる公達とか、諸悪の根源(嘘です、でもきっかけは彼なのでは笑)帝も、欠点がありながら、可愛らしくおとぼけな感じです。ですので、いかに地獄のような苦しみを味わっても、かぐや姫ひいては映画を見ている人も地上で生きることを否定出来ないようなつくりになっているなあと思いました。あとお付きの子がおもしろくて好きだった(って人は多そう)
また、好みにもよりますがかぐや姫がとても可愛い。声がとても合っているんですよね。美人だし。彼女の抱える葛藤も、正直、とてもわかる。なので、どうか、かぐや姫が幸せになればいいなあとかふわふわ見ていると、うん、あの結末からは逃げられないってかと思ってしまうのが辛かった。かぐやは幸せになれないのかーみたいな、萌えキャラが不幸になってしまった悲しさがありました。
ご都合主義的に幸せになってしまったら、それこそジブリなのに子どもに見せられないものになってしまうかもというリスクもありますし(間違った知識が広くあまねく浸透してしまう)、評価も下がってしまうかもなーと思いました。なので、結論への持っていき方とか、感情移入のさせ方、テーマの語り方はすごく「正しい」なーさすがだなって思う反面、萌えキャラに壮大なテーマを語られてしまうちぐはぐさが残ってしまいました。
まあ、多分、かぐや姫に萌えちゃった私が悪いのかなあと……(笑)
萌えキャラじゃなければ、生きることは素晴らしいって語られても、うんそうだよねって思ったりするんですが。萌えキャラにはその子の願いがいかようにか叶うか、それに近づけば良かったかなって、というのはあくまで好みかと。
地上で生きるのは素晴らしい。ですよね素晴らしい。わかるんですけど、なんかものすごく狭い世界で狭い悩みに苦しめられている身としては、理解はできてもその場では共感ができない感じでした。キャラクターに感情移入しただけ余計に。週の半ばで、すぐに現実に帰らないといけないのも良くなかったのかもしれません。気持ちに余裕を持って、大きなテーマを受け止められる精神状態で見れば良かった!
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