2013.10.31.Thu
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 感想
魔法少女まどか☆マギカ 劇場版 [新編] 叛逆の物語 DVD-BOX (116分) まどマギ Magica Quartet アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]
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あんまりに綺麗な夢を見たので、涙が溢れて、そして止まった。
ネタバレや記憶違いがたぶんありますのでご注意を~。
●どう見てもハッピーになれなさそうなOP
魔法少女たちが春夏秋冬仲良くしている姿は、涙が出そうですよね。ああ、これが私たちの見たかった幻なんだなって思って。あまりにもわざとらしくて、思わず構えました。
そしてサビの部分で、たった1人膝をついているほむらちゃんの周りで、皆が楽しそうにくるくる踊っているのを見て、ああ、こういうことかって思いますよね。やがて1人になったほむらちゃんが項垂れて、まどかが手をさしのばし、触れるか――と思ったところでまどかが砂となって崩れ落ち、荒廃した世界に佇むほむらちゃんが映し出される。どう見てもほむらちゃんが救われるわけもないことが示唆されて、さーてどうなるのかなwwってわくわくしました。
「カラフル」の、疾走感というより寂しさと切なさのある曲調がなんとも。
●おままごとのような夢を見せて
5人合わせて5レンジャイ!とか(違います)、お弁当のおかず交換ことか、まじかるバナナみたいのしててお互いを褒めあってて、何より概念になったまどかが当たり前のようにいて、おっかしーなーおっかしーなーと思ってたらほむらちゃんがおかしいって思ってくれて、思わずほっとしてしまった(笑)
いや、方向性の変わった変身バンクも皆が協力して戦う姿もとても目頭が熱くなったんですが(変身バンクの音楽チョイスの素晴らしさよ)、でもやっぱりどうしてもおかしいんですよね。まどかの二次創作をたくさん目にしていたわけでないし妄想もそこまでしていなかったので、本編のギスギスさ、互いに認め合えない姿のほうが自然だなって思っちゃうんですよ。で、ほむらちゃん自身がちゃんと思い出して色々と明るみになるわけですが。マミさんと派手なドンパチしたり、さやかちゃんと刃を交えるシーンで「いつも自分が優位と思わないことね」とか、「自分の時間にこもろうとする、あんたの悪いクセよ」って言われてて、ああ、これこれ!って思いましたね。魔法少女達は皆結構独立した存在で、互いにプライドぶつけまくって、なかなか相手を認めようとしない(ある意味認めていたのでしょうが)、そういう存在だったよなと。これって、ある意味女のすごいリアルな姿で、そういう部分がすごい好きだし、安易に萌えられないけれど共感できる部分だったので、戻してくれて良かったなと思ってしまいました。
●夢だから儚い、儚いけれど強い?
マミさんがベベと一緒だったとか、さやかちゃんと杏子が一緒に戦うとか、どれもこれも嘘で、胸が痛くなりますね。さやかちゃんと杏子はある種嘘を認めたうえで繋がっていたようですが、マミさんは益々救いがなくなったような、けれど、ベベが本当の姿で出てきてくれて、ちょっとは救われていたのかな。
しかしさやかちゃんの格好よさというか株の上りっぷりはすごかったですね。魔女化したからこその強さが出てきてしまってて、今回誰よりも頼りになりそうな感じがしました。失恋して女は強くなるのか。ベベは新たな魔法少女!?って感じで大げさに言われていましたが結構普通というか恐ろしく筋を通した存在で違和感なく入っていたので、テレビ版(前後編)の設定をうまく使ってて面白いなーと思っていました。
本当、お菓子の魔女とオクタヴィアが味方になってくれることの、なんと心強いことか!
●魔女化しても悪魔になってもほむらちゃんは美しい
ほむらちゃんは、やっぱりどこまでも絶望が似合うキャラクターで困ります。こんなんじゃ素直に幸せを願ってられないのです。
まどかを救うため冷静沈着になり、思いつめた瞳になり、手段を選ばなくなり、時間を何度も繰り返し……、まどかが世界を作り変えても、その苦悩は続いていた。テレビ版の頃から、ほむらちゃんの頭はもう十分おかしくなっていたと思うんです。そのうえでまどかの本音(家族や友達を離れたくない)を聞いてしまってもう戻れないところまで行ってしまったんだなーと。なので、ほむらちゃんが悪魔化してもあんまアレ?とは思いませんでした。まあ、レズであるっていう説も無視できませんが(笑)、もしかしたら繰り返す時間の中でレズ行為したかもしれませんが、そうと想像させるくらいの執念が、すでにあったので。彼女がまどかの石像にすがり魔女化してさらにその上で悪魔化してしまう姿は、ほんと、めっちゃ輝いてたなー!と胸が熱くなりました。
でも、リボン返したときの「やっぱりあなたに似合うわね」は、あまりに悲しいですよね……。
●狂気を感じるED
対比になったまどかとほむらちゃんの影が左右に映し出されて、「君の銀の庭」の明るさと共に音楽に合わせて揺れているのが、最高に狂っててうわーってなりましたね。しかも、曲調がワルツになっていて、歌詞もとても幸せそう。もう狂喜しか感じられなかった……。
「静かに寄り添って どこにも行かないで 窓辺でさえずって 何を失くしたって」ってまんまですよね。まどかを箱庭の中に永遠に閉じ込めて、ほむらちゃんは幸せ、なんでしょうきっと。私たちから見てそうは見えなくても。
最後は「静かに寄り添って どこにも行かないで」って、歌ってて、ほむらちゃんはやっぱり、神様になったまどかと一緒にいたいんじゃなくて、あの妄想の世界のように魔法少女のおままごとを本当はしていたんだろうかと思ってしまう。まどかの、「家族や友達と離れたくない」とは関係なく、人間として魔法少女として傍に居たいんじゃないかな、などと妄想してしまいます。
●まどかマギカは熱狂的なキャラ萌えファンのための物語。円環の理に導かれてその先は?
綺麗な終わり方として望まれたのは、円環の理に導かれたほむらちゃんが、まどかと宇宙空間で再会し「ずっと一緒だよ」-終-かなって思うんですが……、その先ってどうなるのかと思うとドン詰まりますよね。
まどかとほむらちゃんがキャッキャウフフして、そのうちマミさんと杏子も来て、さやかちゃんも入ってキャッキャウフフするの?お茶会とかするの?皆で魔法少女迎えにいくのかなー、というのがストレートな考え方ですが、そういうの未来を想像するのってあまり楽しくないかなとも思うんですよね。
それこそ、まどかの世界で遊んでいたいようなキャラ萌え層には、違う意味でトドメを刺されるようで辛いのではないかと。だからたくさんの「遊び」の部分を残しておいて、まだまだ遊べるよ!好きにしていいよ!っていう終わり方にさせたのではないでしょうか。
そのため「物語として綺麗に終わらせてくれ」層の欲求は満たされずに、賛否分かれる終わり方になってしまったと、パンフ見てもそうとしか思えないよなー。
だから叛逆の物語は、まどかを終わらせたくない熱狂的なキャラ萌えファンのための、遊びの続きのための物語なんじゃないかと思ってしまう。そういうのはえてして、制作側のエゴや風呂敷畳んでない現象として受け入れられにくいのは、散々見てきてしまいましたよね。だから、そういう意見にも納得なのですよ。
そういう視点で見ると、ほむらちゃんの悪魔化はすごい茶番に見えるし、今後のための引き伸ばしにも見えます。テレビや前後編のあの「忘れないで。いつもどこかで、誰かがあなたのために戦っている。彼女を覚えている限り、あなたは1人じゃない。」の余韻は飛びますよね……正直。
●私にとって魔法少女まどか☆マギカとは
色々と感想を読み漁って、確かに賛否両論あるんだなあということを感じました。そのうえで、私にとって「まどか」という作品は、アイコンとしての可愛くて純粋な魔法少女を箱庭に閉じ込めて、いじめられている様を眺めるための作品だった、ということだったなあ、と思い知りました。
好きキャラはほむらちゃんで、ほむらちゃんが救われるのかな?って思ってたんですが、全然そうじゃなかった。そして、それが思いのほかショックでなくむしろ結構楽しんでしまったので、やっぱり仲良くキャッキャウフフしてるのではなくそれは所詮幻で実際にはギスギスしている魔法少女たちが運命に翻弄させられている姿が見れるのが良かったんだよなーと思いました。や、テレビシリーズの頃はそれなりに絶望させられていたんですが、映画前後編のあたりから絶望に歓喜するようになってしまったようです。
というわけで私は賛否両論では賛成派かと思います。今はまだ。自分でもキャラの幸せを願わないキャラ萌え層だなーと思うのですが。いつか、この評価が変わってしまう日がくるのかもしれませんが……。
●続くのか……?
いくらでも続けられそうな終わり方をしていたので、続編だよ!と言われてもあまり驚かないかなと思います。ただ、これ以上絶望を重ねても喜ぶのは本当にほんの一部になってしまいそうなので、何かしらオチをつけたほうがいいのかなとも思います。なんかやっとまともな意見が書けた。
いやー、あんまりにも綺麗な夢でした。但し、ものすごい悪夢だったけど。でもそれが、とても気持ち良かった。
参考
・劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編「始まりの物語」/後編「永遠の物語」 感想
http://hatonocco.blog106.fc2.com/blog-entry-367.html
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