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右肩下がりのドクターイエロー

なんでもありの日記。ゲーム・アニメ・ネット・妄想の話が多い。記事の半分は冗談で出来てます。

2013.09.30.Mon

428~封鎖された渋谷で~ PSP版 感想

Spike The Best 428 ~封鎖された渋谷で~
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4月28日、午前10時。渋谷中央署の新米刑事、加納慎也はスクランブル交差点にいた。
渋谷管内で誘拐事件が発生し、犯人は被害者の妹、大沢ひとみに現金を持たせるよう指示。
加納は先輩刑事の笹山と共に、身代金引き渡し現場に張り込んでいるのだ。
配属後、初めての大事件捜査に緊張する加納。
彼はまだ、事件の裏に自分の想像を遥かに超える陰謀が隠されていることを知らない。

同じ頃、遠藤亜智は日課のゴミ広いに精を出していた。
途中、女性に絡むスカウトをあしらったりしながら渋谷駅前まで来た亜智は、
ハチ公前に佇む一人の少女を目にした。
好みのタイプであったため、思わず見とれてしまう亜智。突如目の前で起きる事件。
少女に向けられた銃口。身の危険を察した亜智は咄嗟に飛び出し、少女をかばい逃走する。

事件捜査に奔走する加納。少女と行動を共にする内に徐々に事件に関わっていく亜智。
二人の青年を中心にフリーライターの御法川実、被害者の父である大沢賢治、
謎の着ぐるみタマの物語が複雑に絡みつつ、渋谷の街は今、騒乱の渦に包まれようとしていた。

wikipediaから引用)
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2008年12月4日にセガより発売されたWii用サウンドノベルゲームの移植版。
一般ゲーで良いADVゲームっぽいものはないかなあ(いっぱいあるんだけど)って感じで探しつつ、そういえばこれがあったな、と。TVCMは前身である「街」の印象が強いのですが。それはおいおいやるとして。
このゲームでは5人の登場人物の物語を操作しつつ、それぞれの行動が影響しあいます。例えばAさんが右行くか左行くかでBさんが死ぬか生きるか左右される……という。で、バッドEDにたどり着くと「Aさんの行動を変えればBさんの運命が変わるよ!」と、結構具体的なヒントが示されるので、そこを直して進めていけばOK。
シナリオは1時間ごとに進み、選択肢も多く、死んじゃったり一攫千金狙ったり、理不尽なんだかコミカルなんだかよくわからないバッドEDだらけ。5分~30分刻みで進むシナリオをチマチマチマチマ進めバッドEDを避けハッピーEDを目指します。フツーに読み進めているとバッドEDに行きますので個々のシナリオをかなり行き来する。ですがタイムチャートが視覚的に確認できますので、過去のシナリオから簡単にやり直せます。
KEEP OUT、JUMPというシステムがあり、Aさんのシナリオがある程度まで進むと行き止まり(KEEP OUT)、BさんのシナリオからAさんのシナリオにジャンプ(JUMP)してくることが可能。というように、読むだけゲーにならない爽快感も用意されています。
最近の(?)ADVゲームに慣れていると5分刻みのシナリオでバッドEDに行ったりすると先に進まない~みたいな気持ちに最初はなりますが、自分の操作次第で誰かが助かったり話が進んだりするのは結構気持ちが良くなります。

この作品は10:00~20:00の、たった10時間の物語です。にも関わらず濃い。非常に濃い。5人分(のちのち増える)のシナリオを読んでいるせいか「たった一日でどんだけドラマしてるんじゃー」となります。
一般向けのエンタメサスペンスコメディミステリ(踊る大捜査線風味?)という感じ。一昔まえの邦画作品のような楽しさで、奇抜さはない王道を貫きながら胸熱な展開が人を選ばない作風となっています。ゲームジャケットを見て分かる通り画面の中身は実写になり、女優・俳優が演じています。ほとんど静止画でたまに動画、声がないのが最初ちょっと寂しい気がしますが、なくて良いのかな、という気もします(俳優の声あて、というのは声優の声あてに慣れた自分にはちときつそうだし)
オタク向け臭がほとんどしないためか(笑)、名作がやりたい一般ゲーマーにまで浸透はしていそう。
タイトルの通り渋谷を舞台にしていますので知っていれば「ああ、ここか」的な気分になれます。

で、一週しカナン編が終わりました。あとバッドED回収とかあるんですがひとまずこれにて終了ですので感想を簡単に。

●個々シナリオ
登場人物が山のように出てきますので、各シナリオごとにさらっと。

・加納慎也(かのう しんや)
新米刑事加納くんは婚約相手の留美さん……というよりお父さんに対しての部分がひっかかりまくっていましたが(笑)、良い感じの刑事ドラマでしたね爽やかすぎる。
刑事ドラマの理想のようなスタンダードさでした。ジャックとの関係は萌えますね。

・遠藤亜智(えんどう あち)
渋谷の元チーマー(?)かと思いきや渋谷を愛しすぎてしまい日々ゴミ拾いをする無職青年。あれこれといいヤツすぎる。お嬢様との恋愛もベタすぎますがメインシナリオとしては相応しいんだろうなあという感じです。しかし彼のお父さんが黒幕の一部ってのは意表を突かれましたね。

・大沢賢治(おおさわ けんじ)
ほとんど家の中から出ないで終わり、シナリオのほとんどが独白と過去回想なので、5人の中では異色のシナリオのような。彼のシナリオをやる時は結構気が重かったです。ですが一番真相に近いのでしょうか、面白くプレイできました。

・御法川実(みのりかわ みのる)
一番好きなシナリオでした。熱血すぎるライターミノさんの体当たりすぎる取材に、周囲が引っ掻き回されつつも心を動かされるという内容でした。
色々とくさい面もありますが、むしろそれがしっくりきましたね。しかし頭山さんの自殺を何度も見るのはしんどかったw

・タマ
猫の着ぐるみに入りっぱなしのタマ可愛いですね。正体がわからなかった頃のほうが良かったでしょうか。割とすぐ中身を出してくれちゃいますけれど。
とにかく緊張感に欠けるシナリオが和みます。それもこれもメインキャラ(柳下社長・チリさん)が色々と強烈だったからかな。

という訳で総じて爽やかでしたね。最終章で428を舞台にしたハートフルヒューマンドラマは終わります。
ですが、黒幕が実は……?というところでNEVER END。これの続きはテレビアニメ「CANNAN」になるのでしょうか。
428の空気が好きな方はここで終わらせ、毛色が違ってもその先が気になる!という方は「CANNAN」を見るのが良いのかな?

●ボーナスシナリオ:カナン編
2009年に放映していたテレビアニメ「CANNAN」の主人公がこのカナンということに気づくのはwikipedia見てからでした。
タマことマリアの友達として名前だけ登場したカナンのシナリオは、ある条件を満たしクリアしたあとに解放されます。なるほど確かにクリアして読むべきシナリオな気がしますが、これは、本編の余韻が吹っ飛ぶ内容ですね!!
これは蛇足であるとかつまらない必要ないという評価は知っていたのですが、私は概ね楽しめてしまいました。今プレイしているADVゲームよりクオリティ高い部分もありますし、個性も強いし、変に説得力があります。ですが、確かにこれは428の世界観と共通していても雰囲気はブチ壊してしまうので、勿体ないような気がしました。作品そのものはいいのに酷評で可哀想な感じ。
カナン編ではマリアの元に向かうカナンがアルファルドとの出会いを思い返す、という内容なので、カナンの生い立ちから師匠であるシャムについてや、カナンがいかにしてあのようなハイパー設定を持っているのかがアルファルドとの対決から説明してもらえるのですが、舞台が中東・アニメーション絵・列車を舞台にした傭兵バトル、何より奈須きのこ氏のあの文章なので、邦画のような428の雰囲気とはかなりかけ離れているんですよね。なんか、踊る大捜査線の中で聖杯戦争がはじまっちゃったようなwwてのは言い過ぎですが、そんな感じ。
たくさんの人々の思惑が絡み合いほっとするヒューマンドラマで終わった428が突然超人異能バトルっぽくなってしまうので(カナンの共感覚のせいですが)、余韻が飛ぶ飛ぶ。これ何のゲームだったっけてなっちゃいました。シナリオはカナンが空港に到着する所で終わり、EDロールでは428メインテーマが使われて気遣いは感じますが、それでは誤魔化しきれない個性の強さがあります。クオリティがそこそこ高いだけ、余計に。
ですが余韻どうこうを抜かせば、奈須きのこ氏の個性的な筆力や豊富なイラスト、退屈させないよう頑張りまくりアニメのようになった演出の細かさ、ややオタク向けですが心地いいBGMに酔いしれて、「面白いADVだなー」で終われました。「カナンとアルファルドは兄弟弟子の関係でした」をあそこまで勿体つけてカッチョ良く表現できるのはTYPE-MOON製作だからですかね(笑)私はふつうに「すごーい」と感心するだけでした。
ですが、人は選びます……!428の雰囲気を壊したくない方は、確かにやらないほうがいいかも。そこはそれと割り切れちゃうならばやってみたほうが良いです。ちゃんと関連性ありますので。
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2013.09.27.Fri

閑話休題

寒いです。先日まで暑い!暑くて死ぬ!死人が出てる!と騒いでいましたが寒くなったらなったで大騒ぎをしてしまいます。もうだめだ。今年の冬は寒いらしいし(去年も寒かった気がするんですが)、過ごしやすい気候の場所で生きたいなと思っています……。
6~8月は無駄話が多かったので最近はちょっと真面目に感想のみあげていたんですが(ただ単に話題がなかっただけという)、息抜きしたくなってきましたのでちょっと出てきました。

●428プレイ中、つぎはあさき、ゆめみし
、を打つ場所が難しいな。乙女ゲー連続プレイをすると自分のことだから多分飽きてしまうなって思い、428をプレイしています。萌えはあんまないけど面白いです。「一般に評価される」ゲームはやっぱ質が高いな……などと知ったような口をきいてしまいたくなりますね。で、次に何プレイしようかな~と一日20分くらい乙女ゲーム公式やアマゾンをうろうろし、疲れ(オイ)、もう選ぶだけで疲れるだめだと思いあれこれ迷って「あさき、ゆめみし」を手にとってみました。まだ開封されていませんが428終わり次第ぼちぼちプレイするかと思います。
それにしてもいざ「乙女ゲーやるぞ☆」となっても選ぶ乙女ゲームの作風が大人しいというか、言葉を選ばないと地味なほう地味なほうに流れていきますね。昨今のキラッキラした新作やCERO:高めな表現に胃もたれの予感がしがちで、最初にプレイした遙かなる時空の中でのような、大人しめの作品が安心するのかもしれません(当時は大人しめという印象さえ受けませんでしたが、最近のゲームと比べると多分そうかなと)。乙女ゲーって保守的なゲームだよなと3年前くらいから思っていたのですが、結局自分自身が保守的なプレイヤーだったんだと気づき、トイレの中で軽く落ち込んだりもしました。
話しは戻って「あさき、ゆめみし」を手にとる前はとにかくロゼゲーに!久々に!特攻するんだ!今ならきっといける!と思っていたんですが、他社移植作いっちゃいましたね。ロゼだけど、ロゼじゃなかった!

●女体化は誰のものか
この話題前もしていましたよね……。好きなんだろうか、というより、私の友達が男性向け女体化特化ゲームブランド「CROWD」にハマっていて良く話を聞かせてもらっているのです。「魔王を征服するための、666の方法」っていう女性ADVゲーマーならプレイしたことあったりステラワースの通販サイトで見たことありそうな、あの有名作出しているところです。
友達は乙女ゲーがきっかけで知り合ったもののBL漫画とか貸してくれるいまや立派な腐女子です。BLの情報に餓え、Free!のアニメ放送前は助走をつけまくっていました。それなら女体化より、BLゲームやBL小説のほうが楽に萌えられないか?と疑問に思い、その質問をぶつけてみました。聞いてみると、様々な迷走の結果「CROWD」にたどり着いていたようです。
聞くところによると、ゲームもですがBL漫画には相性があり、BL小説は絵が良いと思っても文章に萌えられなかったり、絵が気に入らなければ内容に萌えられない、なかなか難しい媒体だそうです。それで頭を悩ませた結果、「だったら絵がないほうが萌えられるのでないか」と思い、江戸川乱歩や三島由紀夫の作品を嗜み、好きに妄想できるようになった結果萌えられたと。さらにBLゲームも色々試してみたものの、絵が好みでなければ萌えるのが難しく、主人公を好きになれないとプレイする気力が起きなくなり、新作に積極的に手が出せなくなったそうです。迷った挙句たどり着いたのが「女体化ゲー」で、きっかけは「主人公が可愛いから」だったそうです。
で、幸いなことにそこそこ萌えられたらしくとても楽しんでしまい、最近は魔王含む18(!)の作品が楽しめるボックスをプレイしているそうです。
ですが、初期作品は男性向けらしく、やり捨てや後味の悪いEDが多く、若干萎えていました。美術部でヌードモデルしたらそのまま輪姦されたとか、お姉ちゃんの彼氏にヤられてお姉ちゃんと険悪な仲になってしまうとか、前者はともかく後者はへんにリアルで面白いなあと思ってしまいました。
最近の作品はラブラブEDが用意されている等作風が甘くなってきているようで、女性人気が高まっているようですが(ステラワースで売られるくらいですもんね)、やっぱりそれがイヤな男性ファンもいるんだとか。難しいところですね。女体化ってーのは男性向け女性向けと上手く分けられない、奇しくもジェンダーフリーな場所にある存在なのかな、などと思いました。
友達に、でも女体化じゃん女の子が愛されるのでいいの……?と聞いたところ、「中身は男の子だから」と。な、なるほどーとちょっと納得しました。あと「ED迎えても女の子のままなんだよね。男の子に戻ればいいのに」とのこと。でもそれだと完全女性向けになっちゃわないか!?と思いました。
てか、そもそも女体化によって男性の何が満たされるのかな?女の子として愛されたい願望?とか色々予想しましたが、良くわからず。それはともかく男性向けは市場が広いせいか、すんごいニッチなところにも手が届いてていいなーみたいな。ボックス出ちゃうくらい売れているのであれば、女体化はニッチとは言えないのかもしれませんね。
↑これが言いたかった(笑)

あと最後に友達が言っていた「男の子は愛されてほしいけど、女の子は性のおもちゃになってほしい」という言葉が印象的で胸に残っています。ちょっとわかる気がする。

●Free!最終回
鼻水吹いた。
え、あ、これ、ハッピーEDなの?わ、わ~皆が笑顔で良かったなあ!次の夏も楽しみ!
と納得しようと思っていたら、インターネットストリートファイト「Twitter」では既に戦争が終わったあとでした……。腐りかけ荒廃した世界で茫然としました。そりゃそうだ、無理もない!!公式自らカップリング間戦争を引き起こしてしまうなんて恐ろしい~。京アニの狙いどころについて一晩語り合えそうですね!
冷静に考えれば、確かに予想できたかもしれない最終回でしたが(凜ちゃん救済という点で)、そのお膳立てに怜ちゃんがあそこまで我慢する理由とは……彼は半ば強引に水泳部引き入れられ、そのうえで凜ちゃんのトラウマ解消の犠牲となったのか?凜ちゃんは悪役でもなくライバルでもなく真ヒロインである、というのは理解しているのですが、その解決方法がアレというのは!というモヤモヤ感にとても苦しめられました。正直、Free!は大げさな腐萌えもせずのんびり鑑賞していたのに。結果、最終回みて半日くらいずっと怜ちゃんの気持ち考え続けてしまい、落ち込んでいました。
私は結構Free!が好きだったのかもしれないなあと思っています。キャラソン全部買っちゃったし。iTuneてのは恐ろしいな!(人のせい)雰囲気とか空気とか、綺麗で可愛いキャラクターはそりゃ好きだったんですけど。ううん。入れ込むほどでは。というか、最終回のモヤ感が苦しくて、半ばツンデレ的に好きになりかけているのでしょうか……(何こいつ!から始まるアレ)
2期確定していないけれど、セールス的には望めない感じはしないので、次の夏が楽しみかもしれません。ですがその頃、傷を負った一部のファンたちは一体どうなってしまっているのでしょうか。先の見えないアニメという媒体では安心して楽しめないので、ハマりすぎないよう今から心に壁を作りつつあるのでした。
サントラ発売クソ楽しみです。だめだこりゃ。
2013.09.20.Fri

風立ちぬ 感想

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「生きねば」とは、「生きて夢を見続けろ」ということだったのか。
ものすごく美しいものと醜悪なものを見せつけられたようで、非常に気持ち悪くもあり良くもなった。

●行くつもりがなくて感想読み漁ってから見た
「面白くなさそうだから見る予定がなかった」わけではなく(笑)、純粋に都合がつきそうになかったため、ネットに溢れる感想を読み漁りまくってしまいました……w
で、思いのほかロングヒット(いつもこのくらい?)しており、宮崎監督が長編アニメは引退だよ!という発表があったので「い、行かねば」な気分に。テコ入れにのうのうとのっかりました……(ち、違うのかな!?)。感想読みまくらなければ良かったかなーと思ったんですが、読まないとさっぱりわからなかったと思うし、読んだところで評価にはそこまで影響しなかったかなと思っています。
でもここで書いてしまった感想にはとても影響していると思うので、どこかの受け入りや流用が多そうです。ごめんなさい。

●ひたすら、現実と夢を行き来する
構成でしたね。そういう意味では非常にわかりやすかったです。子供の時だけと思いきや大人になってもずっとずっと夢の中にてラストシーンまで夢の中で終わるので、「生きねば」じゃなくて「夢を見ろ」のほうが、いいんじゃないかなと思うくらいでした。でも「生きねば」というのは「生きて夢を見続けろ」ということなのですかね。
ずっとずっと夢のなか。醒めない夢の中にいて、ブレないなあと思いました。この作品が夢みたいなものだからでしょうか……。

●イケメンが主人公だよ!!!!!!!!!!!!
主人公の堀越二郎さんはとんでもないハイスペックイケメンでした。白状しますが、正直、乙女ゲーで出てきたら惚れるタイプです。
幼少の頃から飛行機が大好きで辞書ひきながら外国の雑誌を読み、ド近眼のビン底メガネがちょっとキズ、になんかなりません。ガリ勉タイプかと思ったら上級生背負い投げしていましたよね。あれで「欠点ないの?もしかして文武両道クソイケ登場ですか?」と沸き立ちました。
その後も関東大震災列車事故でけがしたおキヌさんを背負い爽やかに去ったり、配属されたばかりの部署で新人らしからぬ有能さを見せつけたり、深層の令嬢と恋に落ちたり、私が見ているのはドリーム小説の相手役か何かなのかな?と、くらくらしました。
ジブリにはさんざんイケメンが登場しましたが、何だろう、二郎さんには弱みとかないのかなってくらいクソイケでした。妹との約束をことごとくスルーするヤバげな部分をチラつかせますが、とにかく葛藤が見えない。
自分の作っている飛行機がやがて人を殺す道具になることも、菜穂子さんの結核を悪化させるとわかっていて結婚してしまうことも、フツーだったらわかりやすく葛藤させるものなのに、それがない。映画や物語で感情移入させるための演出として恰好の道具である「人間らしい葛藤」をほとんど見せずに終わります。
「すごいなー!!!」と思いました。というのも今までの作品にはあったのに、わざと抜いたってことですからね、視聴者を振るい落としているように見えるものの、親切心を失くした結果が夢なんだな、で納得してしまいそうで怖い。

●反戦ではなく、飛行機への愛情表現のための演出か
飛行機は人を殺す道具になる呪いを背負っていると最初から言われますし、その通りにお話しは進んでいきます。
しかしながら、飛行機好き!ってことを訴えるために、この時代を選んだのかなという妄想をしてしまいます。まったく詳しくないからあてずっぽうで書くんですが、1920年代というのは、日本の飛行機がどんどん進化してどんどん美しくなっていった時期だったんでしょうか。木と紙で出来ていた日本の飛行機が、ドイツに行ったあと鉄鋼になり進化する様は見てて確かに面白い。くどいまでの機構解説のシーンはわくわくしますよね。何より二郎が異常に飛行機を愛してる。だって美しいから。
人を殺す道具だろうが、美しい。残酷だろうが美しい。
美しいもんは美しいんであると、最後まで一貫していました。一度だって「こんなもの」とはならなかった。飛行機を否定しなかった。

●美しい映像と致死量を超えた純愛と、負け犬の持つ胸糞感
飛行機が飛ぶシーンにある真っ青な青空とか地上とか、吐くくらい綺麗ですよね。でもそれ以上に綺麗すぎるのが純愛でした。ヤバイ。純愛すぎてヤバい。マジヤバイ。出会いのシーンとかヤバイ。二等車に乗るお嬢様が帽子を捕まえてくれるのヤバいし、二郎さん助けてくれて王子様になってくれるのヤバいし、結婚のシーンの菜穂子さんの神々しさヤバいし泣きそうになった。美しくて美しくて、宮崎監督の少女愛じゃない女性への美意識みたいのがばりばり伝わってきた。幸せなんだろうでも同時に悲劇なんだろう、美しさで悲劇を際立たせて同時に胸糞悪くもなって辛かった。その後の生活も辛かった。二郎さん菜穂子さんに「綺麗だ」言い過ぎですよねそりゃ汚い自分なんか見せられなくなりますよね。
わかりあえなくて嘆いたり、みっともない部分を見せたり、年老いたり弱っていく姿だけが結婚じゃないんだ……。だってこれは夢だから。
菜穂子さんの元気な時にはジブリヒロインの明るさと、病気が進んだ時には病弱お母さんの美しさが入ってた。と思うと完璧ヒロインということなのかなあ。病気が進行した時のほうが美しさが際立っていますよね。お化粧もしているけれど何より美しいままでいたいという気持ちの表れなのでしょうか……。
かといって菜穂子さんが不幸せかというと、そんなことはなく限られた時間で精いっぱい愛しました、やるだけやれましたということで、菜穂子さんも現実に生きながら夢を見続けていたのでしょう。ものすごい葛藤があっただろうけれど、それもやっぱり見せずに。
あとどうでもいいけど、山の中のサナトリウムって民間療法(?)なのか、雪山の外で寝かせるってすごいハードなことしてんなってそこ驚きますよね。
あらゆる意味で潔癖で、視聴者の入る隙のない、まるでドリーム小説のような、なんて表現したらブン殴られそうですが、それくらい徹底した作品だなーと思います。だから、見ているこっちは「そんななんでもかんでも夢見たままに実行しようとしないの!するんだったら葛藤して!」と負けそうになる。というか私は負けました。

●わあい庵野監督の声あかり庵野監督の声だいすき……?
覚悟はしているものの実際聞くと「うわあ」ってなりますね。二郎さんそのクソイケっぷりでこの声ー!となるんですが、聞いているとだんだん「うむこの声だ」となってしまう庵野マジック。一説によると庵野監督は正直だから、宮崎監督はその正直者の声が使いたかったんだとか。感情が豊かに伝わってくるわけでもなくうっとりもしないこの声が二郎そのものだなーと最後なってしまいます。
現実に生きながら夢見るように生きているその姿は、気持ちが良いだけのエンタテイメントじゃないからですかね。


「生きねば」とは、「生きて夢を見続けろ」ということだったのか。むしろ「うるせえ俺は生きて夢見続けてやる」ということなのかも。
ものすごく美しいものと醜悪なものを見せつけられたようで、非常に気持ち悪くもあり良くもなった。矛盾そのものをここまで来て描ききったのなら、言うことありません。

と言えるのも、引退宣言聞いた後に見たせいでしょうね……。聞いた前と後では評価が割れそうな気分です。
楽しいかというより美しい、面白いというより首をかしげる、
安易に理解を示していいものか謎なんですが、駄作とか酷い作品とは思いませんでした。ですがもう一度見に行けるかと言われたらしんどいかなと。そんな感じでした。

むしろ、予告のかぐや姫の物語がたいへん気になります!鬼のような形相で走り抜ける姫が部屋を抜け屋敷を抜け竹林を抜け転がり落ちてやがて服まで脱ぎ捨て、走り続ける。殺さんばかりに空を睨んであなたは何から解放されたいの。そんな彼女を見つめるのは「満月」――。だなんて、なんと上手な予告だろう。これはネタバレせず見に行こうっ……!
2013.09.15.Sun

夏空のモノローグ Portable 感想

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移植版発売からも相当経っている気がしますが、なんかネタバレしちゃいけないような気がするのでなんとなく閉じています。あまり意味がないような気がしますが……。
気になったことをつらつら買いているだけのさらっと感想になりますー。

2013.09.05.Thu

下天の華 感想

下天の華
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戦国時代の最中、安土城織田軍のとある武将から、扮装の得意な忍びを雇いたいと伊賀の里へ一通の密書が届いた。 長老の命でその任務を遂行する事となった伊賀忍者の主人公ほたる。 城へ向かうと、安土の警固を任されている信長の重臣、光秀が雇い主だと判明する。 内容は、天下間近である信長の身辺を案じ、城内で敵になりそうな人物の見張りを目的とした諜報任務だった。

光秀の妹姫、桔梗として安土城にひと月の間滞在する事となったほたる。 得意とする変化を利用しさまざまな情報を得ていくうちに、謀反の影が浮かび上がるのを目の当たりにするのであった。

wikipediaから引用)
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●私とネオロマンスのうっすい絆
下天の華はネオロマンス最新作です(2013年9月現在)。
ネオロマンスについて語るのはもしかしてここでは初めて……?と思うくらいの久々感でした。
アンジェ・遙か・コルダ他もろもろ、有名作は数々ありますが、私がプレイしたのは遙か4、3シリーズ、2、舞一夜、ネオアン(途中まで)です。なのでネオロマンサーとして語るには難しい点もありますが、遙か3は初めての乙女ゲームとして大変お世話になった部分もあり、ちょくちょく比較だったりなんだりすることにはなりそうです。

●萌えと燃えの超まっとうな乙女ゲーム!
突然の忍び主人公突然の信長突然のポルトガル語主題歌に、出てきた時は「どうしよう、迂闊に近づけない」となりましたが、ふたをあけたらザ・スタンダードな乙女萌えと丁寧な展開と筋の通ったキャラクターに、ネオロマジックを感じました。恋愛の展開・ストーリーの盛り上がり・キャラのテンションがガチーとはまった最終イベントに「うおおおおおおおお」と私の心にも火が灯り、この熱い感動、どこかで感じたことがある、そうだ、遙か3だと思い出したのでした。
というわけで、概ね「面白い」と思えました。あまり時間をとらせずそこそこ丁寧にツボを抑えつつ楽しませてくれます。
1人2人と攻略しながらこれはいい、これなら続けられるとさくさく進めていくうちに、「何か物足りない」と思うように。「長さ」でした。
ストレスなくコンプできる長さに抑えられたお手軽感は確かに正解なのですが、キャラが気に入れば気に入るほど「これで終わり?」と思わずにいられない。もっと!もっと安土城をうろうろしたかった。キャラのやりとりが見たかった。選択肢がやたらあるイベントを潜り抜けて、この人の真相までたどり着き、切なさにむせび泣き最高のハッピーEDでマンセーしたい!と、だんだんとわがままな気持ちになってきましたね。
これだけ良い素材を備えて丁寧に作れるなら、もっと長くて感動できてやりごたえのある展開に、本当は、出来たのかもなーと思ってしまいました。
しかし、時代がそれを許さなかったんでしょうね。続編が決定しています。わ、わーい(納得しかねる歓声)
確かにあれだけ良い素材を揃えていたのなら、次展開も納得です。まだまだ下天で何かが出来る!という確信も間違いではないと思います。今の時代、一本で完成度を上げるより初期費用でどこまで走れるかが重要なのでしょうと思いつつ、これ一本でもっと出来ただろうしそれが見たかったなーなどとあるわけもない妄想に浸ってみたり。
と、意味不明な不満が出てくるくらい、まっとうに萌え、まっとうに感動し、まっとうにキャラクターを好きになれた良作でした。

●キャラクターデザイン
イラストレーターではなくまんが家にキャラデザを依頼するネオロマンス方式はこちら下天でも継続され、出てきた時は純粋に流石だなと思いました。ここでしか見れない、量産型の匂いのしない尖ったデザインは見ているだけで感動もの。第一印象だけでハヤテ先生の原画見たいです、という気持ちになっていました。衣装の細かさや艶やかさや純粋な迫力のようなものは老舗の風格を備えつつ、主人公の顔のきつさに「!?」となったはず。ですが、いらぬ心配でしたね。ほたるちゃん、まともでした。

●見せ方は魅せ方
キャラクタの背景の池が光っていたり、鳥が飛んでいたり、火が揺れていたり……、と、これはゲーム画面を見ないと伝わらないのが悲しいww(私も実際見てみるまでわかりませんでした)また、スチルにも工夫がこらされていてただの一枚絵に立体感があったりすごくキラキラしていたり、そういう部分には技術の進歩を感じましたね。魅せ方ひとつでドラマチック演出になりますね。

●キャラソンよりBGM
これは純然たる好みですが、攻略キャラクリア後に見れるスタッフロールがキャラソン……なのはいいのですが、歌詞があまり雅でなくて、世界観との乖離をやや感じました。キャラソンの歌詞ははすごくストレートというかお前が好きだ!一緒に生きよう!って言葉そのまま言ってて、確かに作中の台詞でもそういうのありましたけれど、せっかくなんだから美しい景色に例えたりしないのかなーすると遙かと被るからあえて避けたのかな?とモヨモヨしながら聞いてしまい、スタッフロールの時だけは真顔になってしまいますw好みですよね、すみません。
BGMは涙でそうになるくらい良かったです。シナリオが短くても確実に感動できるのはBGMが仕事しすぎなんじゃないかな……?ってくらい良いものが揃っています。恋愛イベントで良く聞く「夏菫」、印象的なシーンでかかる「華」「一輪」「華一輪」は延々ループしていたいほどでした。しかしサントラは某箱にしか入っていないらしく手を出すにはややお値段高めといった具合ですね。
というわけでどうでもいい比較ですが、BGM>>>>>>キャラソン、という感じでした。

●キャラクタ

・ほたる(主人公)
顔がきりりとしすぎて最初はびっくりしましたが、内面は人の話を聞き優しさに溢れ機転の利く娘っ子でした。
目立った非がないというか笑。
感情が顔に出る非道な手段を使えないと忍びとしては駄目だろーと思いつつ、乙女ゲーのフォーマットに適したニュートラル主人公です。

・織田信長
いわゆるメインヒーローで、民からも慕われ人徳の高さが伺われ、なんていうか欠点ないの?ってくらいクソイケでした。
夢を語るシーンはジーンときますね。恋愛面では2話時点でガンガン攻められるのでちょっとびっくりしました。
(「暇つぶしにさんざん付き合わせておいて」ってのは笑いました。で、ですよねー。でも相手してくれて優しい)
しかしながら、萌え的には信長様にはドーンと構えてもらい、でっかく見守ってほしいなあと思ってしまうお父さんポジションに落ち着きました。

・羽柴秀吉
フラグが折れるの早くてびっくりしましたよ!?
というのも1話時点で正体がばれる、というイベントが備えられているからです。それくらい秀吉にはあっさり正体がばれてしまう。切れ者ポジションです。
農民の出であるということでやっかみを受けたりしますがほたるの機転で解決してしまうのでした。
クチナシをあげた時の「姫さん……好き!」は面白い。

・明智光秀
ほたるの雇い主で信長暗殺計画の黒幕。ですがその真意は……。明智くん人気ありそうだけれど、他ルートで見える忠義心がアツイね!
「唇に触れると恋してしまうんでしょう?君なんかいくらでもお饅頭に恋していればいいよ」って、こういう台詞すごい久しぶりに聞いた……という感じです。聞いた時感動してしまいました。気に入ってるし可愛いと思うけれど生意気だしからかってやりたい、けれど自分の素顔を見られてしまい、べ、別に恥ずかしくないんだからね!という照れ隠しっぷりがすごい上手く伝わってきて「ウオー」ってなりました。
なんというかこういう「態度」から感情の機微が伝わるようにするって、誰でも表現できるわけじゃないんだろうなあとしみじみ思いました、お見事です座布団10枚。

・織田信行
「兄上、これで最後です!」と燃え盛る本能寺のなか涙しながら刀を抜く姿は圧巻。
優しい物腰から本性がばれたあとの手のひら返しがすごい。ですがその本音は過去に裏切られた経験からの痛み。
ぎりぎりまで恋愛にならず最後まで抵抗され拒絶され、最後の最後でやっと心の内に入れてもらえると感動もひとしおです。全キャラクター中、一番ほたるとくっついて良かったねと思えるキャラクタだったと思います。ほたるの甘ったれ精神が人を救うという意味でもなんか説得力のあるエピソードなのでシナリオとしては一番好きです。
続編は決定していますが、信行の物語はここで終わりなのでしょうか。どうでしょうか。

・森蘭丸
下天のラブコメ要員。青臭い展開に気分は秀吉(からかいポジション)でしたね。
かんざしのシーンで店主に怒りまくるのはお前青すぎだろと思いましたが、うーん、あのスチルは好きです。微笑ましい。あと川のところも良いです。
本能寺での「ここを通すこと、まかりならん!」とか格好いいです。柄にもなく「死ぬーーーーー!?」と思ってしまいました。
EDでほたるが七介に化けてびっくりさせるのとか、可愛いですね。

・徳川家康
下天の女性不信要員……ていうか女性不信のキャラクタは乙女ゲーで初めてみたかもしれない!?ちょっと新感覚。覚えてないだけかもしれませんが。
小鳥と戯れ草木と触れ合うのが趣味です。動物と意思疎通してるんでしょうか。
女性が苦手すぎてどう接していいかわからず逃げ続け、その原因を琵琶湖で聞くシーンはあー可哀想だなーと思いましたし、納得しました。
家臣から見て情けないところがあるようで再三「家康さまをお願いします!」と言われます。「明智の姫に袖にされた!?」とか笑いました。
最終局面の抱え上げスチルはカッチョイイの一言です。

・百地尚光
親ばかというか心配症な師匠ですね。ほたるが感情を殺さない子に育ったのはこの人のおかげか。
忍びの育成方針としてそれどうなん?と思いつつ納得のキャラクターでした。

●その他
総括として、「姫さま生活楽しい」っていうのもありました。姫さまとして生活場所を整えられるとかモノもらうとかちやほやしてもらうとか、それもこれも立場が姫さまだから、皆優しくしてくれるんですよーという前提が整っているので、安心して姫さま生活を送れます。蘭丸とか姫様姫様言ってきて可愛いですしね、ペットのようで……。
続編では姫さま生活が継続できるんでしょうか?そのあたりが気になったりします。

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