あらすじ
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空環市の郊外の山にある空環の神社で育った少年由は、
ある日、幼友達の黒狐に連れられて冬の大祭りに行くことになる。
あかあかと灯る提灯、ざわめく人影。
生まれて初めて見る外の世界で、由は2人の不思議な少年に出会う。
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(
pixiv辞典から引用)
「さあ、食事を始めよう――」
このパッケージ、というより(あとから良く見たら由が灯吾の手掴んでるのね。ひええ)

このバナーにピンと来たら是非。と言いたいところですがお勧めしにくい面もありーので。
ですがこのゲーム、私には合ってました。大変楽しくプレイしました。
和風ファンタジーADVと説明されることが多いですが、純和風ではありません。どちらかと言うとレトロ和風ファンタジーでしょうか。神社にお祭り並ぶ鳥居にさびれた駅、積み重なったブラウン管テレビ、もののけとヒトビト、禍々しく赤い空に白い月、シルエットで表現された町並み。そして、落ちる椿に回る風車。って感じなので、サイケデリックなファンタジー昭和の香りを楽しめる作品と思っていたほうが誤解がなさそうです。攻略はマップ選択あり+15通りのED(他にもバッドED)あり、なので攻略は普通のADVよりやや面倒くさいです。が、攻略サイトや副読本のお世話になればそれほどでもないかと。と思えたのは私はこの作品が好きだからですねー。
前作「花帰葬」のPSP版をプレイしていますので、ところどころ比較していきます。
●キャラとか登場人物の絞られていた花帰葬に比べ、あかあかは大筋に関係あるキャラもないキャラも含めていっぱい出てきますね。楽しくていいんですけれど、大変だったろうなー。
・由
伏し目がちの釣り目ってことでかなり狐を連想させますよね。独特の顔ですが、ちょっと寂しそうで、もうどうしようもなく陰の気を感じさせるキャラだなあと思っていたんですがいざプレイしてみるといつも眠そうでかなりゆるふわな子でした。もののけ側とヒトビト側で中立の立場にいるせいかどこにもスルスル入っていきますが、自分の運命を諦めているのか受け入れているのか納得しているのか、どこか寂しそうなんですよね。うう・・・。可愛い可哀想コンボです。
ルートやEDによって下す決断は様々ですね。なので、本当に望んでいることが一体どれだったのか謎でした。お話しとしては灯吾ルートで消えてしまうEDが正しいかと思うんですが、消えずに済むならそうしたかったよね?と、思わずにはいられない。可愛い可哀想コンボだから。
にっこり笑った立ち絵と眠そうな立ち絵と禍々しく笑う立ち絵(秋良ルートの最後くらいしか出てこな?)が好きです。孤独と隣り合わせであってもむしろそのせいで、結構構ってもらうのが好きだと思います。あと、なんか緩くて無防備に見えるのは中身が7歳のせいだろうかと今は。
・黒狐
あかあかで一番好きなキャラですほんと可愛い。私のそばにも居てほしいという痛い妄想をまき散らさずにはおられないほど可愛い。いやほんと可愛いんだ。狐の時はちっちゃくて肩にのっててやいやいしてて神社とかに戻ってくるとこれまたちょっとちっちゃい男の子に変身するんです。もちろん耳尻尾付きですよー!フゥー!感情で動く耳と尻尾に獣耳属性持ちはハァハァするに違いない。
と、興奮していますがもちろんそういう要素だけに萌えているんでなくて、黒狐が徹頭徹尾、由の心配をしていて味方でいてくれて優しいからなんですよね。黒狐は何があっても由を道具扱いしないしむしろそのことを申し訳ないと思っているようでなんかそういうところにひどくキュンとする。キュンとするとか表現私ほとんど使ったことないんですけど黒狐には真面目にキュンとしまくってた。黒狐EDでの「ヒトビトを見分けられない俺が由だけはわかった。だから由は・・・渡さない」てとこと黒狐の部屋で「お前に友達が出来てうれしい」って言うとこと由が消えちゃって嵯峨野に怒るとこと副読本の漫画で泣きながら「お前はここに残れ。俺たちのことはきっと忘れる」って言うところですね。妙に多いですね・・・そして副読本のはガチ泣きしました。私好きなキャラが泣いていると一緒に泣いちゃうんですよ恥ずかしい。
背もちっちゃいしやんちゃなので黒狐のほうが由の弟みたいに見えるんですが、副読本でやっぱり黒狐がお兄ちゃん、て書いてあってまた萌えた。ふおおおおおお兄ちゃん!おにいちゃん!
黒狐にはゲームに収録できなかったエピソードとか残っているそうなので、ぜひ出してほしいですね。灯守大好きな理由とかわからんもんな・・・。(見落としているだけ?)
・灯吾
やばい黒狐で使い切ってしまった。エネルギー的な何かを。
灯吾はえっらい複雑な家庭で育っていて、でも妹の面倒を見るいいお兄ちゃんです。由の訪問を最初は迷惑がっていたものの、だんだんほだされて仲良くしてご飯も用意してくれるオカンです。実際には由の兄だったんですけどね。なんかこう灯吾もこうしたい!みたいな明確な願望が見えにくくてちょっと難しかった。なので灯吾ルートの由消えちゃうEDであやかしの世界に行ってしまうのは不思議だったなあ。でもあれが灯吾のけじめのつけ方なのかなともそこでやっとわかった感
ちなみにヘッドホン男子です。ヘッドホン男子。
・秋良
友達がいないせいか友達扱いされるとびっくりしたりこっそり喜んだり嫌われたと思うともろにショックを受けたりとても可愛いんですが、もののけを追い出すという点に関しては頑なだったなあと。由があやかしの親玉になって、秋良がそれなら邪魔をする、という終わり方は苦いんですが大変いい終わり方でした。この時、由がすごい不敵というか禍々しく笑うから。
・嵯峨野
す、すげえ・・・ものすごい被害者だって思いました。穴に入れられて放っておかれたって気の毒すぎる。そりゃ怒りますよね。にしても、灯吾の家に居たり秋良の家に居たり、(過去に色々あったせいだけど)この人もスルスル入っていくなーと思いました。ちっちゃくなったEDはかわいかった。でも由に食べられちゃうの?
・ミコトの主
最近の言葉で言うとロリババアになっちゃうので姉属性のようじょって言っておこう。キャラデザが際立っていますね。可愛い。しかし嵯峨野(朱氏)との出会いはなんか気まぐれだったのか。そこから始まったのに。ふええええ。でもそんなもんかもしれませんね。気まぐれからはじまってしまった悲劇。
・狭塔
なるほど確かにこの人はブレない!なんか役割というか立ち位置がずっと変わらない気がします。しかしなんだ、言葉は優しいけど態度がCOOLなので怖いよなあ。
・嵐昼
あ、ねずみだったんか。だからチューなのね。ご飯係ですが何かと世話を焼いてくれます。黒狐EDで見逃してくれる・・・ブワッ。
・灯守
すげー幅とるキャラデザだな・・・しかしなんだ真面目でいいな。どこで活躍するかなと思ったら活躍らしい活躍はありませんでしたァー!おおおお顔を隠すキャラはイケメンだと思い込んでいるというのに!素顔が見たいです。
・足部さん達
由へのつっかかり具合すご。でも、皆が皆甘いんならおかしいか。ちなみにドラマCDだと声は石田彰らしい。
・架月/眞白
なんかすごいトリッキーなキャラかと思っていたけれどそうでもないですね!!副読本だとモブ顔とか言われているし!ルートによって味方になったり敵になったり。
・朔/薙
時間軸がずれてそうな女子高生だなと思ったら「女子高生風もののけ」だそうです!副読本には「物語の邪魔をしないお助けキャラ」ってあったので、これぞ腐女子設計の可愛い子ちゃんだな、としみじみ思いました。ほんと、関わってこないですよね。
・もみじ
可愛い振りして発言がロックだった。舌打ちとか悪態つくのが多い。いつかあのてるてる坊主がグワっと口開けてきて食われるんじゃないかと思っていました。そういうバッドED、もしかしてほんとはあるんだろうか。
・金魚
もちろん最初に喰われました。いきなり食われるからびっくりしました。
・灯奈
ウッカリポンて可愛いなと思ったら、その正体はミコ様の尻尾の内の一本だった。だけどミコ様のために動いているわけじゃなくてあくまで灯奈の意思があるんだなあと。仕方ないとはいえもののけが居なくなると灯奈まで消えてしまうのは寂しすぎるような
・夜市
ちょっと立場がみじめすぎるよ~。嫁がいなくなり、ルートによっては灯奈も灯吾もいなくなるじゃないですか。うーむ。
・シン
見た目はいいんだけどね。言葉も可愛い。依り代がないとダメなのかそうか・・・。それはシンのせいじゃないんだけどね。
・鈴来
すごい可愛いヒトビトです。シルエットのくせに表情豊か(笑)。しかし彼が人間の立ち絵に戻ると「はっ」としますね。それこそ夢から醒めたみたいに。
●花帰葬より複雑怪奇な因縁は・・・もののけが住む空環(ウツワ)の街を舞台にするたった10日間(?)の話なんですが、複雑怪奇な設定のおかげでえらいことになっています。花帰葬はとにかく玄冬と花白がどうなるかっていうことに主に終始していたんですが今回は家族とか一族単位で因縁が絡んでいるのでそれこそ由と灯吾だけじゃ終わらないんですよね・・・。ED数が多く、物語的、しかしどれも「全員が幸せ」になるものはなく、むしろ寂しい・悲しい・尻切れトンボな感じのものが多い。私はすごい好きですけど(笑)
主人公・由がもののけ側の人間で灯吾がヒトビト側の人間(本当はどっちもグレーゾーンだけど)である以上、搾取する側・される側になっているからもうどうしようもないんですよね。由が灯吾と仲良くなればなるほど「友達なのに、おいしそう」「食べたいけど好きだから食べたくない」と。なんか色っぽい雰囲気ですがBLになりません。BLに、なりません。花帰葬よりBL色は薄いです。あくまで仲のいい友達って感じ。でも由にとっては黒狐以外でできたはじめてのまともな友達だから、そりゃ食べられませんよね。食べないと自分が死んでしまうけど。
そういう訳で、キャラは可愛いし好きだしお話しは面白いんですがとにかく媚びない(笑)媚びてくれないんですよ~。と、いうのも、Haccaさん自体が二次創作からはじまったサークルなので何が萌えで媚びであるかってよく理解されていらっしゃるんじゃないかなと思うんです。だからこうしたらサービスになる、けれどそこをあえて外そう!物語として成り立たせよう!ってしてるんじゃないかなとすごい邪推してしまいますね。理解しているからこそ避けられてしまう、腐女子は恐ろしい生き物や・・・。
このゲームクリアしたのが1月20日だったんですけど、由の誕生日だったみたいですね~。ふええ。ドラマCDとかコミカライズとか同人作品とは思えないほど派手に展開していますが、シナリオ担当の抜けた公式(?)ではどうなんだろうかと。黒狐の補完シナリオ欲しい!と思いつつ、メンバはふつうに働いてらっしゃるサークルさんなので、無理があるようなことはあってほしくないかなと。
余談だけど、副読本読むとほんとシナリオが難航して開発期間が延びたみたいですしね。さらっと「あかあかに仕様書は存在しません」とか4コマに書いてあってびっくりした。ゲーム開発はアジャイルっぽいというか、そりゃウォーターフォールにはいきませんよね・・・。
昨年末から同人作品にちょくちょく手を出していますが、相性合うものも合わないものもあって、しかし商業と比べるとやっぱり好きで作っているから遊び心だらけなんです。だからプレイしているこちらも楽しくなってきますね。「あかあか」も条件をクリアすると「黒狐の部屋」とか「もみじの部屋」とか出てくるし、何より場面ごとにタイトルがついていてその量が異常で、てゆかぶっちゃけなくてもいい要素ではあるんですがそこをひねり出して考え出したというのだから遊び心って怖いですよね。また、PCゲームですので、クリックしてて楽しいていうのはほんとありがたい。インターフェースもかなり凝っています。メニュー選択で色々音が鳴るのとか、逆にレトロな感じがしますよね。
マップ内で好きな場所は神社の入り口(鳥居の並んでいるところ)と駅でした。駅は最初、怖かったですね。「電車が止まらない」って何なのよと。しかし主人公・由がその原因になる側にいたもので、怖がる権利はなかったのでした。
声はついてないので最初はちょっとさみしいんですが、慣れてキャラが可愛くなってくるとむしろなくていいになる。自分の好きな架空の人物の声で再生されるのでそれが心地いい。ドラマCDの視聴でちょっと「ウッ」ってなった。やっぱりもののけの類はもっと異質な具合に脳内再生していたので。
ハァ~良かったわ。Haccaさんもっと早く手をつければ良かった。万人にはお勧めできませんが、私と嗜好が似ている方は好きかもしれませんので、花帰葬と併せてお勧めしておきます。同人作品だけどAmazonとかの流通でも手に入るのね。同人イベントにも出ていらっしゃいますしそちらのほうが安く手に入りますが、我慢できない人は通販です!私は我慢できないのでサントラ買うかなー。主題歌もいいです。癒されない志方あきこ。
<参考リンク>
・花帰葬(PSP版) 感想
http://hatonocco.blog106.fc2.com/blog-entry-382.html