「CROSS†CHANNEL~To all people~」の感想です。
往年の名作というのはやっぱり名作で、語りつくされ擦り切れて、もはや信仰の対象としての機能ばかりが強調されてるんですが、それでも語りたがる人が絶えないのは、やっぱり名作だからでしょうか・・・。
以下Wikiから引用したあらすじ。
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主人公の黒須太一は、群青学院の放送部に所属し、そこで得た仲間たちとの楽しい時を送っていた。
しかし、ともに時間を過ごす中、それぞれ心に歪みを抱えたメンバーたちの間には亀裂が生まれ、あるときを境にそれは決定的な破綻となり、「放送部」は断絶してしまう。
太一が起死回生を賭けて臨んだ合宿も失敗に終わり、心中がバラバラの状態で街に帰還する放送部メンバー。しかし、そんな彼らを迎えたのは、生物の存在が消え、常軌を逸して静かになった街だった。
「世界で八人だけの人類」になるという異常な状況下で、それぞれの歪みを顕にし始める部活メンバー。バラバラの心中はそのまま彼らを迷走させ、もはや部活などできる状態ではなく、唯一部長の宮澄見里だけが夏休みの課題であるラジオ放送用のアンテナを組み立てる活動を行っている状態であった。
そんなある日、ひょんなことから町はずれの祠にあった「ノート」を発見した太一は、人類の存在しないこの世界が1週間単位でループしていることを知る。
閉じた世界と繰り返す一週間の中、太一は仲間たちとふれあい、衝突し、そして和解していく。
その果てで彼は、自分自身と向き合い、ひとつの決断を下す。
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理由はよく分からないけれど、とにかく「人類の滅亡した世界」に放り出されてしまった少年少女達の物語です。起こることといえば人間関係の軋轢が原因による不信や裏切り、殺人といった要素は、90年代のエロゲーを思い起こさせるというか、やっぱりエロゲーはこれ系の要素を遺憾なく発揮できる市場なんだなと小一時間。
絵柄はちょっとふるいラノベって感じでまるっとしてて色は爽やかできれいなんですけど、
その世界を取り巻く感情はどす黒く陰湿で残酷で血にまみれて、愚かで愛おしいものでした。
●1週目
しょっぱなから主人公が、全く知らない少女と漫才みたいなやりとりをはじめてすごい驚いた。お前ら知り合いじゃなかったのか、と。そして、人類が滅亡しているにも関わらず学校に行き、部活動にはげみ・・・、といった、滅亡した世界で起こすとは思えない行動をとるキャラクター達。でも、悪い意味でADVゲームに慣れてしまったせいか、そういうキャラクタたちなのかな、と、勝手に納得してプレイしてしまっていたのでした。何がなにやらわからないまま、部活の先輩がSOSを流すために組み立てていたアンテナが破壊され、部員の霧という少女が突然クロスボウを持ち出し美希をひきつれて敵対宣言、そして主人公の婚約者?の曜子ちゃんが部員を皆殺しにする。何もわからないまま、一週間が巻き戻る。
●2周目
2週目はキャラクタ別に攻略していく。美少女ゲームですので、どの子ともそれなりにイチャイチャするが、いずれも悲劇的な最後を向かえ、あげく1週間たてば必ず巻き戻ってしまう。その間に巻き戻りの法則から外れた祠を発見し、元の世界へ戻る場所を「観測」できる主人公は、この異常な世界から仲間達を元の世界に戻してやる決意をする。
●3周目
3週目は2週目と同じくキャラクタ別に攻略。しかし、目的は個々のキャラクタを「送還」することなので、2週目と主人公の行動がかなり変わっている。
以下、世界観やキャラクタ別の語り
・世界観
都市部から外れたやや片田舎な学校が舞台なので、ノスタルジックな世界観が素敵です。この頃のエロゲーって素朴で温かくて雰囲気がいいんですよね。大好きです。と、うっとりぼんやりしてていたんですが、なんで都市部から離れた片田舎に位置しているかというと、それは学校の持つ機能に起因してると気付き、戦慄。
・群青学院
主人公他仲間達が通う群青学院は、適応係数の高い少年少女を管理する学校であり、施設。適応係数というのはこの世界で設定された社会への適応力のこと。試験により定められ、一定数以上の数値を出してしまうと、群青学院みたいな施設に送られてしまうという。そういった学校ですので、登場人物たちは精神に何かしら問題を抱えた人物ばかり。ほぼ隔離施設ですので、ガードマンがいて、授業中は抜け出せないよう門には鍵がかかっている。
・宮澄 見里(みやすみ みさと)
「規則」に敏感なみみみ先輩は、自分をかばってくれた父親を警察につきだしてしまい、家族を崩壊させてしまう。そのせいで弟に恨まれ、逸脱できる規則ばかりの社会に適応できず、その苛立ちを自傷行為によって表している。一見巨乳メガネの萌えキャラなんですが、弟と不仲になると本音が見えますね。アンテナを組み立てることで逃避していたわけですが、人に危害をくわえないだけやっぱりそんな強烈じゃないかなーとか、あと、太一(主人公)がとにかく肯定していたので悪い印象はなく。って感じです。ただ彼女への印象が弟によって塗り替えられていくのは困りました。「自分の規則から逸脱したら、裏切られるぞ」って。
・桐原 冬子(きりはら とうこ)
冬子は、1人では立てない子です。一見ただのツンデレですが、デレると堕落してしまう、ちょっとしゃれにならないタイプ。別にゲームの中の登場人物だから堕落したっていいじゃんと思うんですが、それを良しとしてくれないのがこのゲームなんです。これについては後述。孤独を愛していたがために太一に気に入られ一回付き合いますが、独占欲が激しく周囲を排除しようとする。太一から別れを切り出されると、自らの腹を刺して気をひこうとする。プライドが高いくせに、ひきとめるときはそんなものかなぐり捨ててしまう。確かにデレた態度は可愛いです。可愛いんだけど、これがやがて周囲を排除する方向に向かってしまうのか、と想像するときついものがある。かといって私的にダメかというとそうではなく、正直、誰にでもある要素だと思うんです。だから冬子の愚かさは憎めない。怖いけど。
・佐倉 霧(さくら きり)
霧ちんは太一を寄せ付けようとしないんですが、本来は繊細で傷つきやすい子、体力もそんなないので、迂闊だし詰めが甘いし結局ガードも緩い。冬子とはまた違った方向で依存性の高い子だったかなと。猜疑心に耐えられずに太一を犯人呼ばわりしたときも私は「そういうキャラかー」って思っていたんですが、そういうキャラっていうより、彼女の心がストレスに耐えられなくなって出てきてしまった部分だったのか、とあとで気付きました。豊兄のことは好きだったけど、信じたくない事実を突きつけられてしまい、よく心が壊れなかったなあと思うのですよ。チューで懐柔されていたようにも思うんですけど。
・山辺 美希(やまのべ みき)
親しい他人を切り捨てるほどの「自己愛」を抱えた女の子。一見明るい清涼剤みたいなポジションですが、世界の秘密に気付くと自分だけ祠に篭って、リセットされないようにしていたとは・・・。挙句皆殺しEDに導いてくれるなんて、やっぱり最初は気付かないです。冬子の他人を排除するほどの独占欲もそうなんですが、自己愛だって誰にでもあるもので、自分が怖い恐ろしいと思う事象からは逃げたいし、そのために友達を利用したっておかしいことではない、と思うんです。
・島 友貴(しま ともき)
勝平ボイスの衝撃。みみみ先輩の弟で、姉以外には人当たり良く対応している。しかし、アンテナを壊すのはこの子なんですよね。大人しい子ほどとんでもないことをしている世界だよな。ほんと。EDではちゃんとみみみ先輩と和解できているようで良かった。適応係数はそこまで高くないので、太一の異常性にもあんま気付いていなかった?
・桜庭 浩(さくらば ひろし)
過去に女装した太一に一目ぼれして、襲ってしまいそのときに殴られ鼓膜を破られ、以来性欲がなくなってしまった少年。オイ・・・という設定ですよね。ほんと。そ、そんなことあるのかよゲームだけど!とびっくりする。ラバは普段は太一を普通に話しているからそんなことするなんて思えないけど、どうやらマジらしい。好きだと思った相手を襲っちゃうなんて、殴られるまでどうしていたのかしら、とか考えてしまう。ゲームのキャラだから襲っていいなんて、そんなことはないのです。だから、彼は片耳が聞こえなくなって性欲を失うことになったのです。
・堂島 遊紗(どうじま ゆさ)
運悪く太一の凶暴性にあてられ、以来どうなってしまったのかよく分からない子。良く分からないってのが一番怖いよ!いっそ心が本当に壊れましたとかのほうが納得できますよ!しかし、凶暴性って何なのだろう。やっぱり立派にレイプされたのかな。だってエロゲーだもんね。そうですよね・・・。
・新川豊(しんかわ ゆたか)
太一の使う通学路で現れる、人当たりのよい青年。なんだ、謎っぽいけどいいヤツじゃん、と思ったらやだもー!(´;ω;`)っていう。彼は実は過去に親にそそのかされて太一を強姦した張本人で、その部分はさくっと記憶喪失になっていた。群青学院で太一を再会、仲良くしたあとに記憶を取り戻してしまい、太一にどう懺悔すればいいかわからないところ「お前、なんで今すぐ死なないの?」といわれ屋上から飛び降りて自殺。被害者かつ加害者であるという物語の犠牲者のように見えました。因果だなと思うけどあまりに残酷な因果である。
・支倉 曜子(はせくら ようこ)
太一の半身だ半身だっていうので、太一の作り出した幻か何かだと思っていたら(死神と少女の兄さん的な)実在している。曜子ちゃんは太一と一緒に過去に屋敷で暴行やら強姦やらうけていたが、超人的な能力をもつくの一みたいな女の子で、自力で世界の秘密に気付いてしまうすごい人物。そんなすごい人物だけど、屋敷の人間を皆殺しにする際、自分は手を汚さずにいたというのだから・・・しかも太一を拒絶してしまったために太一の精神は崩壊してしまったという、なんというか、いろんな原因にもなっている少女。しかし太一を監禁している間の曜子ちゃんはシモの世話でもOKそうである。だから太一は怖いんだけど愛していて、罪悪の念はあるけど本当は自分だけ見てほしいっていうのかな。わがままだけど、やっぱり曜子ちゃんの愚かさは嫌いになれんというか。ただの弱虫だったんだなと。
・七香(ななか)
「君ってお母さんにエッチな悪戯とかする子でしょ。でも、そういうの嫌いじゃないかも」の発言で、あ、この子はお母さんなのか、っていうのがすぐわかりますよね。あと最後に太一が無意識に「ありがとう母さん」って言うし。実際には太一のお母さんは太一が生まれてすぐに死んでいるんですけどね。だから結局七香が何なのかはPSP版でも名言されず。でもやっぱりお母さんっていう良心であり、太一を真実に導いてくれるんですよね。導いた上で「この世界をループしてていいじゃない」と言ってしまう。子供が苦しまない道を用意しているのですね・・・。
・黒須 太一(くろす たいち)
太一をどうやって説明すればいいのかわからず考えあぐねているところです。一見ノリがよくセクハラが好きな男の子っていう、ある意味エロゲー全とした子なんですけど、血が苦手で、血を見ると理性がなくなって人を襲ってしまったり殺してしまうという。ちょっと厨二な設定ですよね。しゃれにならないんですけど。適応係数80%オーバーという問題児ですが彼の発言に対し真面目な冬子や霧は過剰に反応して本気で怒るし霧なんか憎しみを募らせて殺そうとまでしてくる。(他にも理由はあるが)享楽的な性格で、人と上手くいかないから孤立しているほうが楽なくせに寂しいから人をからかってしまい反撃をうけたりする。過去に曜子の住む屋敷で女装させられ暴行等々うけていたため、すでに精神がおかしくなっていたところ、半ば曜子に利用され裏切られてしまったために本当に心を壊してしまっていた、という。この物語で一番悲愴な過去を持っており全ての原因で、被害者で加害者で・・・と。わけがわからなくなる。いつもふざけてばかりで下ネタばかり言っているけれど、「お前なんで今すぐ死なないんだ?」って言うしね。そんな彼ですが、2週目で仲間たちの心に触れ、3週目には彼らを送還する決意をする、やっぱり主人公全とした性格の持ち主だと思うのです。誰かを送還するたびに苦しんでいるくせにやめないですよね。
毎週毎週違う女の子とイチャイチャしてるし強姦するし(PC版では、おそらく)、理性はとぶし、乙女的な視線で見ればかなりアウトなんですけど、私はやっぱり嫌いになれないというか・・・。物語の終わり方のせいかもしれませんけど。
でも、3週目の太一は違うよね。もうすごい我慢して、バランスを保とうとしている。霧を必要以上にからかわず、冬子を必要以上に依存させない。いくらゲームといえ、やっぱり健全でない関係は許されない。適応係数80%の彼がそれを体言して実行している違和感といったらないというか、納得がいくというか。
・ギャグや文体など
ロミオ節という言葉が存在するくらい、田中ロミオ先生の文章は癖があるし、ギャグはあわない人はとことん合わない仕様になっております。ここで脱落する人も多いのでは、と思います。なんですが、多分私はロミオ先生の文体がかなり合うほうなのではないかと思いまして・・・。人類は衰退しましたを読んだ時点で、ロミオ先生のちょっとひねくれた慇懃無礼な書き方は好きだなって思っていて、クロチャンやったらそれがもっと強烈に伝わってきて、自分の目に狂いはなかったなとちょっとすっきりしました(笑)太一が完全に1人になったときの文章とか、こちらの頭がおかしくなるかと思いました。一体何食べたらそんな文章が書けるのよと。
文章表現は、女性が好むロマンチックさはないと思いました。でも情景描写はきれいだったかなと。あと本気出すとテキストボックスをいっぱいにしますよね。遊んでいるんだなーと。
・システム
ぼくらの旧KID様、神のおわすサイバーフロント様ですので、システムは快適すぎて背中に羽が生えるレベル。周回プレイを要求するなら、これくらいの仕様を揃えてくれないとやる気なくしますよね。
っていうかクロチャンは「スキップできない同じ文章」が何度も出てくるので、システムはこれくらいじゃないと最後まで辿り着かないぞと。
・EDテーマ:CROSSING
クリアしてからもうずっと聞いている。まさにゲーム主題歌らしい主題歌です。皆を送還する時にメロディーは聴かされるので、それがこの歌詞だったのか、とすとんと落ちてくるし、衝撃的で、もうどうしようもなく切なくて泣いちゃうですよ。君が好きだ愛してるって曲じゃなく、最後に1人で残ってしまった太一の心を歌った曲なんですよね。作品のテーマを歌ったっていうより、主人公の心情を歌った曲です。
「たとえば孤独なら傷つくのはひとりぼっちの自分だけだと」と、
「この空が無くなるその日までは生きてゆこう」の部分がすごい好きです。
やっぱり太一は1人なんだろうな・・・。それを裏付けると思い込めるのが、イントロで入るギターの音で、これって多分間違いなく「ノイズ」なんですよ。彼が誰もいない世界でたった一人で発信する番組「CROSS†CHANNEL」が入ってくるノイズで、だから3度目のノイズから、太一の声がしっかり聞こえてくるっていう仕組みなんでしょう。それが、私たちの耳に入ってきている。受信できている。それを太一は観測できないけれど。って考えるとますます切なくて、どうしたらいいのか。
・終わり方
物語は、キャラクターたちが飛ばされてしまった、人々が滅亡した世界「B世界」から、元の世界「A世界」へ、仲間たちを戻してあげることで終わります。戻して上げられるのは、2つの世界の「交差」する場所が「観測」できる太一のみ・・・。男の子のつくるタイムリープものに量子論はつきもので、皆、シュレーディンガーの猫がすきなのだろうか、とか考えてしまったけど、それはいい。仲間達を戻したときに、不幸にも太一だけ戻るつもりがなかったのか、運悪く戻れないんですよね。でも開き直って、皆との思い出と共に過ごしていこうとする。けれど、他人のいない世界で過ごしていくとやっぱり心がおかしくなっていくんです。他人がいなければ趣味さえも必要なくて、自分がいるのかいないのかわからなくなる。すごいぞっとしました。他人がいることで傷つきその結果1人になることをいくら望んでも、傷つけてくれる相手がいないと自分がなくなってしまう。それに気付いた太一がとった行動というのは、「CROSS†CHANNEL」を発信し続けること。人類の滅亡したB世界で、たった一人、ラジオ番組を流す。その音は、もうつながっていないはずのA世界にいる仲間たちと、人々の耳に届いていた、という結末です。人を傷つけながら求めていた太一は「この空が消えるまで生きていく」っていって、終わるんです。
この終わり方を見たとき、太一は戻りたいのに戻れないのか、でもそれが結論ならばそれを受け入れるしかないのか、とか私の中で葛藤がおきてしまって、今でもひきずっています(笑)人との正しい距離の取り方を学んだ太一は、A世界に戻れましためでたしめでたしでもいいんですが、でも、ロミオ先生が伝えたいのはそこじゃなくて、自分の視点からはうけとってもらえているかわからないけれど、その言葉はきっと誰かに届いているよってことが言いたいんですよね、きっと。人類の滅亡した世界だって、自分がいるのかわからない世界だって、もしそういう風に悩んでいる人がいたって、でも、それでもきっと届いているんだよ、という、広い広い肯定をしている終わり方なんです。だから、きっと太一は戻れないし、戻らないのかな。なんか切なくなってきたつらい。
●まとめ
なんだかすごい長文になってしまいましたすみません・・・。ここまで書いてしまうということは、私はこの作品が好きなのでしょう。シュタゲとか、EVER17とか、乙女とかそういうのとはまた違った意味で、この作品が好きなんです。痛いし欝いし、完全懲悪でなく誰が悪いのか責められず、太一だけ擁護するわけにもいかないしすっきりしないし、正直、この作品に心を傷つけられたと思うんですが、でもだからこそ好きになってしまったんだろうな、と、長々書いた文章を見て超実感しています。この作品のテーマは恋愛でも友情でもなくきっと「人間関係」ですね。その間に渦巻く感情は一筋縄ではいかなくて打算とか保身に満ちている。そして悪者が誰なのかわからない。判断できない。キャラの愚かな部分に、自分とか、実際にいる人の影が見えて、どうも憎みきれなくて。モヤモヤが溜まるわけですよ。イヤじゃないんですけどね。
私は「PSPだとキャラクタがお人形さんみたいで臨場感なくてイヤ」とか言うほど入り込むタイプではあるんですが、ゲームの中の人物を人間扱いはしていないです。むしろ、二次元のキャラクタを人間扱いせず、二次元なら二次元らしく素っ頓狂なふるまいをしてて構わない、だって次元が違うものって思っているタイプです。これは偏見なんですが、オタク重度の高い人ほど、キャラに執着していながらまったく人間扱いしていない割り切ったタイプが多い。きっと、そうでないと心の底から愛せないって知ってるからなんでしょうけど・・・て、話が逸れた。
だから最初は、太一がへんなことしても霧ちんが暴走しても冬子が堕落しても、そういうキャラなんじゃしょうがないんじゃん?ゲームだし人間関係が破滅に導かれてもいいっしょくらいに感じていたんですが、3週目に入ったときに太一は適応係数80%でありながら健全な人間関係を保って仲間達を送還しようとする。それを見て、「キャラクタだからいいじゃん」っていう感覚でこのゲームやってはいけないんだなって感じました。
群青学院にいる仲間達は「心を育てあぐねた」子供たちで、人を傷つけてしまうから、っていう理由で隔離までされているわけです。そんな彼らが健全な関係を形成するのにどれだけ頑張らないといけないのか。我慢しないといけないのか、それを考えると苦しくなると同時に、キャラクタたちの持つ「欠けている部分」は、三次元にいる人間に十二分備わった要素であると気付くのです。こんなことを書くと怒られそうなんですが、キャラクタたちに似た人を私はいっぱい知ってるし、人間関係が壊れていくのも両手で数える程度には見てきたんだな・・・。
男でも女でも、人間関係の話っていうのが一番盛り上がります。いい話も悪い話も、重いのも軽いのも。そこで、結局どうすればいいかというと、好きだからって依存したり排他的にならず、嫌いだからって拒絶しすぎないでいないと、結局自分も相手も周囲も傷つけることになる。でも、人間ってそれが上手くできないんですよね。それをゲームのキャラクタから学ぶというのは皮肉というか、人生はままならねーです。
でも適切な距離ってなんだよ、そんな器用なことできるかよ、人間関係なんてうまくいかないことのほうが多いよって、思います。それは精神に問題を抱えているとかいないとかじゃなくて、誰にも起こりうる当たり前の葛藤で憤りで。だから、弱いままでいいんだよ、人を拒絶して1人になっても、それでも「君の声は届くよ」っていうメッセージを含んだ結末にしたのではないかと思うんです。
これも一種の人生賛歌かな、と感じました。
あ、黒須ちゃん、寝るはちょっとわかんなかったです。この作品、わからないことが多すぎるよ・・・。
で、どうなんでしょう。名作といってもおかしくないかな、って思うんですけど、お勧めできるかといえばきつい部分もあるので、手をとるならば自己責任でとか無責任なことを言ってしまいたい(笑)冷静に突っ込もうとすれば突っ込めるしそれで感動が醒める危険もはらんでいますので、どうかお気をつけくださいましね。
今素直にお勧めできるよといえるソフトはシュタゲだろうしな。シュタゲより、人を選ぶ部分が多いしな・・・。
私にはすごーく合った作品だったようです。
しかし、「人間関係」がテーマなんてひどく一般的で、元は18禁ゲームだけど大人より子供に考えさせる要素を孕んでいると感じました。
バカみたいに長く書いてしまいました。でも書けてすっきりしました。
私のこんな自己満足がだれかに届いているなんてすごいよなあ・・・。
ここまでお読みくださりありがとうございました。
では、また来週。