ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qを見てきましたー。
公開からしばらく経っていたのでもう腐るほどネタバレを見てしまい頭でっかちになっていたんですが、それなりに楽しめました。まあ答え合わせというか映像で見るとどうなってんのかなーて感じで。とりあえず項目ごとにでろでろ書いていきます。
あ、エヴァについてはテレビシリーズをよくわからんまま流し見していた世代です。見てはいたけどよくわかんない!っていう。水曜18:30テレビ東京で見ていました。
●映画館は満員でした
祝日前日の夜でしたからね!そりゃ混むわーて感じでした。映画館はヱヴァ一色!カップルやらグループで見に来ている方がとても多い。すっかり市民権を得たアニメになったなと。90年代のあの頃を知っている人にとってはなんともいえない状況だったのではと思います。雰囲気としては「けいおん!」みたいな、敷居の低さとライトさ。今や当たり前となったお祭り感。誰かも言っていたけれど、新しい世代にとってはやっぱりコンビニ感覚のアニメなんだろうなあ。と思う訳です。たくさんあるアニメのうちのひとつ。間違っていない。
●同時上映:巨神兵東京に現る
同時上映の巨神兵東京に現るは面白かったです。長らくミニチュアの映像なんて見ていなかったもんなー。東京がただひたすら巨神兵にぶっこわされる不謹慎とも思われそうな内容ですが、やりたいことがスマートに伝わってきて良かった。ヱヴァQ本編とあわせると壮大なメッセージがあるかのように思わせる作品。
●ヱヴァQ本編
「綾波を返せ!」とまるでロボットアニメの主人公のような発言で、僕らのエヴァンゲリオンのイメージをまさに打ち「破」ったシンジくんでしたが、目が覚めたら14年経ってました。助けたはずの綾波はいないし、ミサトさん(43)はあんなに後押ししてくれたのにエヴァに乗るなっていうし、トウジの妹は出てくるし、リツコさんはベリーショートだし、アスカ(28)は元気そうだけど眼帯だし、自分はへんな首輪付けられちゃうし、ミサトさんたちはどうやらNERVじゃないwilleとかいう敵対組織を作ってるしまさにこういうとき「わけがわからないよ」ってなるんかなと。そりゃ綾波の声にほいほいついて行っちゃうよね・・・と思いました。NERVに着いたと思ったらなんかすっごいボロボロだし人はいないし綾波は助けられた記憶ねえっていうし、父さんはバイザーつけてるし見知らぬ少年がピアノひいてるし冬月さんに将棋に誘われたと思ったらお母さんが初号機に取り込まれているとか真実聞かされるし、そりゃふらふらもしますよ。で、世界はすっかり滅びに近づいて、その原因が君だよとかさらりと言われてもうエヴァには乗りたくないって思ってもしょうがないんじゃ。でもでも、セントラルドグマの最深部にある槍抜けばいいよ!って言われたからまたエヴァに乗ろうってなんとか思えたのに、直前になってなんか違うからやめようって言われてでも抜いて、フォースインパクト起きそうになるし、それを止めるためにカヲルくんは爆発(っていう表現で正しいんだろうか)。ポカーン・・・。ほんと君が何を言ってるのかわからないよ。
あーなるほどね!Qって旧のことだったんですね、わかります!ってわかるかああああああああああああ!説明不足にもほどがあるわ!補完してよ!!人類補完する前に物語補完しろや!!とだだをこねたくなるのでした。
皆さんも仰っていますが、もうちょっと落ち着いて話し合おうよ!会話の席を設けて14年間何あったか話してくれればシンジくんもあんなことしなかったんじゃない?と思ってしまう。以下いろいろ。
・シンジくん
すごいいじめられっぷりでしたね。まあ破であんだけかっこいい姿見させられると、テレビシリーズの時代に戻ってしまったような気もするけれど、そんなに酷いもんでもないような。むしろまっとうな反応だったと思うんですが・・・。ただ周囲には周囲の事情があってそこにすべて責任転嫁するのはクズだよ、って(テレビシリーズでも)さんざん言われてきたので、彼にも責任があるって判断するのが妥当なのかしら。
つかさーシンジくんってとても多才なんですよね。あの弁当男子ぷり、チェロもたしなむし、今回は突然ピアノの才能まで開花した。冬月さんと将棋も打てる。エヴァにも乗れる、家庭の事情は複雑だけど、そこそこ楽しい学校生活も送っていたし、女の子の友達も結構多い。大人に囲まれて頑張っているって書くとシンジさんマジハイスペックです!って感じなんですよ。やっぱり今のアニメの主人公にはあまりない、90年代に多くいた才能を持った選ばれた子供じゃないですか・・・。ほんと彼はエヴァに乗りさえしなければ他にいくらでも幸せになる道があったのでは!?って思うんです。でも、本人が「エヴァに乗らないと皆が優しくしてくれない」って思うなら、どうしようもないのかなあ。料理研究家にでもなってお料理本でも出せばいいのに!
・カヲルくん
皆が待ち望んだカヲルくんはやっぱりカヲルくんだった!すげーホモってたけど、やっぱり彼は使徒なので萌えるにも難しいんですよね。ただ今回はシンジくんを幸せにしたかったとか言ってたし相変わらず騙されていたので、シンジくんへの執着みたいなのはちゃんとあったのかな。にしても星を見たあとにチューとかチュー以上してても違和感ない演出でしたね!二頭の馬が走っていたし!
・ミサトさん
ミサトさんもね、自分が後押しして結果ニアサードインパクト起きちゃって「やっちまった」気まずさからあんな態度なのかな?って私は思ったんですが、14年色々あったしシンジくんにエヴァに乗ってもらう必要はないの、だから言う事聞いてね(笑顔)?って言えばいいじゃん!でも気まずすぎて無理かとも思ったり。色々絶望していたのかなーだったらもう死んでしまった方が楽なのかしらとか思ってしまうんですがしぶとく生き残っているあたり、使徒への復讐心だけで生きてきたのだろうかという。
・レイ
あ、3人目?と思ったけど、おそらく前のレイも残っているんですよね。しかし3人目も自我が芽生えそう。次の劇場版ではレイVSレイとかになったりして。
・アスカ
冒頭からがっつんがっつん戦っていてヒーローになっていた。破で尊い犠牲扱いになっていたけどあれはなんだったんだという。まあ元気で良かったよ。にしても、眼帯にジャンパーに帽子、と彼女のいでたちはまるで少年のようでした。シンジくんと話す時以外はずっと戦っていたし。戦い方もワイルドかつ気合たっぷりで、あの加持さんに懸想して使徒にやられて精神崩壊していたアスカではなくなっていた。だから式波?今回、アスカの活躍が目覚ましく、アクションありデレもありの盛りだくさん構成だったせいかテレビシリーズからのアスカファンの盛り上がりが一番ある。pixivもアスカの絵が増えてきて女性からの支持も受けているように見える。特に後者なんかストレートにアスカを好きになっちゃったんじゃないですかね。湿っぽく、大人の男性に憧れる子供っぽいテレビシリーズのアスカを知らないと、少年のような姿でシンジをひっぱる式波アスカは確かに女性から好まれそうなデザインだ。ちなみに前者は俺のアスカは元気だったしデレだし良かった!派と、俺のアスカはもっと繊細なんだよ!派に分かれていて面白いです。
・マリ
思わせぶりな新キャラクターだけど、つるっとwille側でアスカとコンビ組んでてずっこけた。お前は一体なんなんだ!といいたくなるけど、Qの鬱っぷりを緩和させるいい中和剤になってしまっていてなんか結果オーライだったわ。
・マヤさん
「これだから若い男は!」って舌打ちしていたwwww女性を嫌な方向に年とらせる表現上手いなーとへんに感心してしまったです。
・ゲンドウ
あの崩壊NERVの中でどうやって暮らしてどうやってエヴァを維持管理してんだかわからない!妖精さんか!
・新キャラ
色々でてきたけどほとんど掘り下げられずに終わりましたね!確かにグレンラガンぽいデザインが多かった。
EDテーマの桜流しを聞きながらもうなんか泣きそうに・・・。悲しいからでもがっかりしたわけでもなく、なんかしんどくて。こんなんなってもまだ生きないといけないわけですか!もういいじゃん辞めてもさ。と思ったからです。まさにシンジくん状態ですね。庵野監督はどうやっても視聴者をシンジくんにしたくて、でも庵野監督もシンジくん自身じゃないですか。ひどい構造ですよね。自傷と他傷を同時にやっているような気分に。ご飯はちゃんと食べてからのぞんだんですが、体に力入り続けていたせいかとても疲れてお腹がとても空いてしまっていました。HP削る映画だったな。そんでもって次回予告でしたが、エヴァがぐりぐり格闘しているだけの映像。またウソ予告流しおって!(決めつけ)でも、脚本映すとかじゃなくてよかったなーなどと思ってしまった。
会場は満員だったし連れ立ってきている人が多かったから非常にざわざわと賑やかに退場しましたけれど、ま、確かに誰かと一緒だと笑うしかないような状態でした。気まずいし。笑うか茶化すしかやりようがなかったのかな。1人だと気まずさを抱えたままムッツリしてられます。
●さあ考察しよう気が済むまで!
すでにたくさんの考察があがって、とても盛り上がっている状態です。ですがいまやインターネットが活発すぎてそれのスピードもものすごく早いですよね。90年代はそこまでネットが盛んじゃなかったから考察本が大量に出ていましたけれど、今回は考察も無料で済ますことになりそう。90年代にエヴァにショックを受けてそれが色濃く残っている人は最後の劇場版まで毎日毎日1人でエヴァのこと考えられそうなんですけど、コミュニケーションが好きな新しい世代はそうはならんだろうな、と思います。エヴァをちゃんとファッションとして消費できるんだろうなー。私もネットにある考察読んで面白いってなって、そのうち忘れてしまうんだろうなあ。
90年代のエヴァにショックをうけた人でも、「Qはまさに俺達のエヴァだ!」ではなく「もう付き合いきれない」と思っている人も少なくない。繰り返される謎設定、意味深だけど説明されないセリフ、ディスコミュニケーションな登場人物たち、一度は愛情を持ってつきあって、破でやっと救われると思ったら突き落とされてしまい、なんだか気持ちが冷めてしまった人もいそう。
考察好きな方はわかると思うんですけど、言葉にできないモヤモヤってあるじゃないですか。結論の出ない気持ちとか、考えが。そういうのってすっきりしなくてずっと自分の中に滞留してしまって、でも離れられないもんだと思うんです。エヴァってそういうのすごく刺激する作品ですよね。ああでもないこうでもないと考えてしまい、そして「庵野監督の思わせぶりに振り回されているっ・・・」ってはっとなってカーっとしちゃう。でもそれをいっしょに見に行ったけど今はもう別のアニメに夢中な友達には今更話せないどうしよう、みたいな。私はそういうモヤモヤした気持ちにイライラさせられてネットに吐き出しちゃう人は見ていて好きなんですけど、ノリが良くてコミュニケーションが好きな人はそうはならんだろうなあとか思ってしまう。
私も最近知ったんですけど、Qの公開に合わせて有名企業と山のようなコラボレーションをしていたようです。調べてみたらすごい出てきてぶったまげた。アニメイトもカフェでコラボしていたけれど、ぶっちゃけ霞むレベル。LUMINEやらマルイやらTOYOTAやらZOZOTOWN、モンテローザなど、アニメイトが浮いているように見えてしまった。アニメといえばアニメイト!だったのに。
かつてはせいぜいUCCとしかコラボしていなかったエヴァがですよ、社会現象とはいえオタクの代名詞にさせられていたエヴァがですよ、都会の一等地で有名企業とコラボレーションですよ。すげえ。時間の流れってすごい。私、ほんと未来にきてしまったんだ、て茫然とした。シンジくんやレイやアスカやミサトさんと向き合って、それでさらっとファッションにできる、そんな未来が来てしまったんだって、愕然としました。
ちなみにマルイのコンセプトは「エヴァの世界観に共感する大人」がターゲットでエヴァにはあんま関係なさそうな靴とか販売していましたけど、Qを見て共感できた人はいたのか、っていう・・・。いや別にそんなこと本質には関係なくて、お客さんが満足して経済効果あればいいなってだけってことは私もわかってはいるんですけどね。あ、オリジナルグッズとかは綺麗だし面白いです。エヴァのデザインて、確かにかっこいいんだよなあ。わかるよ。
映画の最後は、フォースインパクトもどきで荒廃した世界で、アスカが無気力なシンジくんを立たせ、3人目のレイと一緒に赤い砂漠を歩く、その後ろ姿で終わります。新しいキャラクタも出てきたけど、やっぱりこの3人なんだなあ。3人とも私たちが望む姿とはきっと違うんだけど、それでも二本足で立って歩き始めていました。それだけが今回の救いのような気がします。
巨神兵東京に現るでもあったけど、世界が突然滅んでも、それが神の意志であっても、自分も他人もぐちゃぐちゃにされてしまったけど、生き残ったら生きることを辞めてはいけんのですっていうすごくまっとうで今の時代に適した夢と希望のあるメッセージすぎて頭がおかしくなりそうだった。さんざん色々掻き回したけどやっぱりそこかよなんか恥ずかしいなーみたいな。でもベタだし、新しい世代にもマッチするいい落としどころだったと言わざるを得ない。エヴァは壊して再生する話になるのかな?次回のサービスを待つしかないのですね。うむ。